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格差社会に反対します

カテゴリ:議論
 日本の社会は格差社会に向かって一気に進みつつあります。戦後の日本の55年体制化では、自民党の保守体制が続いたとは言っても、一種の資本主義的社会主義ともいうべき体制が続いてきました。そもそも、今日の自民党政治の基礎は、財閥解体と農地改革による小作農の解放を原点に、格差是正を基本の方針としてきました。とりわけ農地改革によって新たに独立した農民層が自民党の基盤を作ったといわれています。
 企業もまた、終身雇用を原則にしたいわゆる「日本型経営」を掲げ、会社帰属を強めるとともに、定年後まで含めて、会社ぐるみで面倒見る福祉の単位として機能してきました。「絶対に従業員の首を切らない」ということを原則にしている会社も少なくありませんでした。いわば、会社は、社会主義国のコルホーズとか、人民公社のような労働=生活単位であったということができます。ですからその中で、資本家と労働者は対立しながらも、資本家は資本家としてのモラルを持っていたわけです。
 それが急速に崩れたのは、バブルによる無法の横行と、その後のバブル崩壊による多くの企業の経営危機でしょう。その後、その影響もあり、さらには少子高齢化での税収不足や年金破綻などもあって、国の財政そのものが成り立たなくなってきます。今でも国債頼みの借金財政が続いています。
 その中で、「小泉改革」として大声で打ち出したのが、ともかく国は金を出さないから、自分たちで勝手にやれという方策でした。それは国による格差の是正を伴わずに、逆に格差を増大させるということを大きな柱としました。弱者にかける予算を減らせば、国家予算の支出は大きく減らせます。それによる社会の停滞観を打破するために、格差をつけた上のほうを目立たせ、その華々しい活躍で活性化を図ることになります。そのみこしに上げられたのがホリエモンだったわけです。
 実力主義とか能力主義とか言うけれども、その基本はお金で、要するに実力とか能力とかいうのは、お金によって図られることになりました。「みんな違ってみんないい」というのは成り立ちません。どんなに個性があっても、それがお金にならなければ蹴落とされます。お金一元論であり、物質主義であり、唯物論が支配するようになりました。唯物論というとマルクス主義の代名詞のように見られますが、むしろ拝金主義の今のアメリカや日本の資本主義のほうがよほど唯物論的です。
 社会的にも、社会主義、マルクス主義の後退によって、平等社会をめざす方向が弱くなり、未来へ向けての理想がなくなりました。弱肉強食の中で、いかにして個人として勝ち残り、勝ち登れるかの競争になりました。アメリカが唯一の理想とされ、何でもアメリカの真似をし、その属国となることを望むようになりました。それがやがてどんな荒廃を招くことになるのか、考えるだけでも恐ろしいことです。
 三浦展『下流社会』(光文社新書、2005)は、そのような新しい格差社会を見事に分析しています。たくさんの専門的な統計を用いた分析はもちろんですが、それを具体的なイメージとして提供しているところが秀逸です。特に、女性の類型化がわかりやすい。三浦さんは、上昇志向・現状志向と、職業志向・専業主婦志向の二つの軸を立て、上昇志向で職業志向をミリオネーゼ系、上昇志向で専業主婦志向をお嫁系、職業志向で現状志向をかまやつ系、現状志向で専業主婦志向をギャル系と呼んでいますが、このネーミングもけっこう秀逸です。しかも、写真入でとても納得させられます。
 女性が女性というだけで団結できた時代は終り、女性の中でも階層化が進んでいます。言うまでもなく、この中で上昇志向のミリオネーゼ系とお嫁系が勝ち組となり、かまやつ系とギャル系は負け組みとして下流社会に落ち込む可能性が大きくなります。
 男性についても4つの分類をしていますが、はっきり言って、こっちのほうはもう一つという感じ。女性の場合は、専業主婦化が成り立ち、フリーターやニート系もその中に吸収されて見えにくくなるのに対して、男性の場合は、専業主夫が一般に成り立たないということが、男女を同じように分類できない一つの理由でしょう。ただ、男性の場合も、上昇志向か現状志向かはかなり大きな違いが出てきそうです。
 思うに、こういうタイプの違いは当然あっていいはずで、それだけならばかまわないのですが、社会が共通して求める方向を見失うことによって、上昇志向型は自分個人の上昇だけを求め、現状志向型は意欲そのものを失って下降してしまうことが問題なのでしょう。
 社会が本当に画期を持ちながら充実していくためには、多分、この分類で言えば、「かまやつ系」の女性に当たる層が(男性も含めて)充実することが大事ではないかと思います。手に職があり、そんなにぜいたくでなくても、まじめに働いて、きちんと生活していけるという層が、社会の中核を作っていくことが必要だと思います。上昇志向型だけが脚光を浴び、うまい汁を吸って他を蹴落とすような社会は、必ずその歪みが報復を受けることになります。これはとても危ないことだと思います。


投稿者 : 日本は危険な方向に向かっている 日時 : 06/07/23 05:46
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