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ボロクソ駄目日記


 ■ 2010/03/02 (火) 船


デッキでは人だかりが出来ていた、一人の筋肉質の青年=ハッサンが何事かと覗き込むと、マストの上に赤いチャイナ服を着た青年が帆を畳むマストの端に手を伸ばしていた地上までの高さは10メートル落下すれば命は無いだろう、
「もう少し・・」
少年が手を伸ばし、指先が端にひかかっていた帽子に触れた途端、帽子が落下した慌てて掴むが今度はバランスを崩し滑り落ちてしまった、野次馬達の悲鳴があがる誰もが落下後の悲惨な光景を想像した、しかし青年は寸前の所で片手でマストを掴んでいた、だが限界はある、騒ぎを聞きつけた船員達が仲間にマットを持ってくるよう指示を出す、だが間に合わず少年は手を放し重力にしたがって落下していく、今度こそ駄目かと思った瞬間、信じられない光景が起こった落下する直前1回転して着地の体勢を取ろうとした、だが、落下地点にハッサンが両手を広げて受け取ろうとした
その場でバランスを崩し少年はハッサンの上に取れ込んだ
        *
男は客席に座り込み周りを見渡していた、ここまで来れば暫くは安全であろう、後は次の港で仲間に例の物を渡せば仕事は終わる・・・この任務は何としてでも成功させなければいけなかった・・この為に何人もの仲間が命を落とした、何としてでも成功させなくては
            *
テッサン、チンミの2人は医務室をでて客室へ向かっていた
チンミ「それじゃあ、大工の修行為に世界を旅しているのか」
テッサン「ああ、やっぱり世界は広いからな、戦争中と言えども、修行の手は緩めちゃならねーて親父に無理矢理出て行かされ、こうして旅をしてるてワケさ」
マストの上から落下した2人は命には別状はなく、外傷にも問題はなかったが、船医からは船医にキツイお灸を据えられた、食堂へ行くと先程の女の子が両親と一緒にドアの前で待っていた、女の子がチンミに気付くと駆け寄って来た
女の子「お兄ちゃん!さっきは帽子取ってくれてありがとう!」
チンミ「今度は気を付けるんだよ」
うん、とほほえむ少女の後ろから両親が2人に近づいて来た
父親「先程はこの娘の為にあるがとうございました」
母親「この娘たら、この帽子がお気に入りで旅行に行く時はいつも持ち歩いて」
父親「宜しければ、夕飯でも御一緒にどうですかな」
チンミが何かを言い掛けた時に少女が一緒に食べようよと手を引っ張る
ハッサン「いいじゃねーか、此処で知り合ったのは何かの縁だしよ」
チンミ「そうだね、じゃあ、よろしければ」
少女はやったーと手を叩いた
        *
見張りの船員が夜の海に点滅するライトを確認すると
仲間に報告する
船員「船長、救難信号です」
船長「何処からだ?」
船員「12時の方向、この船の直ぐ近くです」
船長「避難民か?、船を直ぐに寄せろ」
      *
船がボートの腋に止まると直ぐに救命用ボートが向かった、ライトでチェックするとボートには数名の男達が乗っていた、到着して安否を確認しようとする船員の目の前を何かが光ったと思うと彼の意識はその場で途絶えた、他の船員が状況を確認する間も無く他の男に喉を切り裂かれ、その場に倒れた
         *
チンミ「ふー喰った!喰った!」
満たされた腹をさすりながらベッドに倒れ込む、少女の家族に夕飯を御馳走されたのだが、ハッサンの食欲は凄まじくあっという間に皿に注がれた料理を平らげてしまった、このままでは自分の分も取られてしまうとついつい自分も張り合ってしまった、少女の父親はこの船の料理長を担当しており2人の食べっぷりに感心の笑みを浮かべていた、夜が開ければ目的地であるアルテアだ、噂では帝国から逃れてきた人々が反乱軍を組織している街だという、しかし、ハッサンや少女の家族達との別れが少し寂しく感じられた、窓から海を眺めながらウトウトしかけた時、部屋の外から銃声と共に悲鳴があがり飛び起きた


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