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なんとなく・・・。


 ■ 2008/02/07 (木) vol 13 「輪廻」


「ただいま。」

「あ、なに?今日は部活行かなかったの?」

「うん。なんか風邪気味で帰らせてもらった。」

「熱あるかもしれないから計りなさい。」

「あ、うん。」

「かあさんこそ、今日は仕事なかったの?」

「なんか最近は若い社員さんが入ってきて、休みが増えたのよ。」

「ひとがいない時は連勤連勤で使うくせにね・・・。」

「いいじゃない。かあさんもゆっくりする時間があっても・・・・。」


その記憶は徐々に色あせていく。

じゅんは赤ん坊の行く末に困り、孤児院に置いて来てしまった。

「これでいいのか・・。わからない・・。元の年齢に戻すわけにもいかないし・・。」

「育てるわけにも・・・・・・・・・・・。」

じゅんは彼女を敵だとは思っていなかった。

本当の敵はあの男である。

現時点ではそう思うしかない。

「もう、僕は普通じゃない。」

じゅんは徐々に、この苦しみから逃れるために

数字を使いきろうと考え始めていた。

「幽霊みたいな男の存在はチカラでは消せない。」

当然、以前にためしていた。

「数字を使えば人が死ぬ。」

じゅんはしょうがない状況で犠牲にした人達に苦しめられている。

「みゆ。キミは僕の天使だ。」

人は天使ではない。

天使は時に悪魔の微笑みを浮かべる。

幽霊みたいな男は暗がりでこう言う。

「早々にも死者の魂を集めなくては・・・。」





「ねえ、おにいちゃん。いままでどこにいってたの?」

妹のさえが言う。

「ちょっとね。」

「ちょっとって?なんなの?また内緒?さては、彼女と・・・。」

「うるさいよ!ませガキ!」

さえはそうは言っても、一周忌はちゃんと家にいてもらいたかった。

夕食は後ろめたさから、じゅんの作ったカレー・・・。

「おにいちゃん。これ、普通過ぎるよ・・・。」

「なんだそりゃ?はははは。」

ここまではありふれた日常にみえるが、

じゅんはあのおんなをおいてきてしまったことや、保身のための殺人に気が狂いそうだった。

「いっそチカラで違う世界をつくりあげてしまおうか・・。」













「おれはもともとはなんなんだ?魂を集めているのなんのためだ?」

繰り返し、繰り返しつぶやく・・。



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