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36都道府県が料金値上げや助成廃止、削減を実施

カテゴリ:生活
 全国47都道府県中、36都道府県が今年度予算で、住民の暮らしに直結する受益者負担の強化や助成措置の廃止・削減などを実施していることが毎日新聞のまとめで分かった。内容を見ると、県立高校の授業料引き上げなど教育関連が30都道府県と群を抜いて多く、高齢者や障害者、出産や子育て関連など福祉分野での支援縮小も7県に上った。財政悪化を背景に、国レベルにとどまらず、足元からも「負担増」が進み、国民に重くのしかかる実態が浮き彫りになった。

 ◇生活にズッシリ重く

 調査は47都道府県のほか、各都道府県庁所在市、その他の政令指定都市(川崎、北九州)も対象にした。財政当局に対し今年度予算のうち、住民生活に直結する分野で(1)補助や助成の打ち切りまたは削減(2)公共料金、使用料などの引き上げまたは新規徴収(3)新税導入−−の有無を聞いた。

 それによると、公立高校や看護専門学校の学費(入学金などを含む)引き上げなど教育関連の負担増は、北海道、東京、奈良、山口など6割超の都道府県に上った。さらに10の県庁所在市や政令市でも、公立高校や大学の学費引き上げに踏み切っていた。

 一方、高齢者▽障害者▽子育て(出産や乳幼児医療、母子家庭を含む)▽生活保護世帯−−などへの支援を削減した都道府県は、栃木、三重、島根、香川など。さらに、26の県庁所在市や政令市も支援削減措置を取る。このなかでは、交通機関の無料パスや敬老祝い金の打ち切り▽老人福祉施設に対する財政支援縮小▽健康診断やインフルエンザ予防接種の自己負担分拡大−−など高齢者に対するものが目立った。

 また、上下水道などの公共料金引き上げ、公民館や火葬場といった公共施設の利用料値上げ(または有料化)も32自治体で実施。森林整備や水源保全などを狙った新税も3県で創設している。

 国政レベルでは財政対策として、暮らしにかかわる負担をすでに強化する流れになっている。今年度予定でも、(1)厚生、国民年金保険料引き上げ(2)配偶者特別控除の部分廃止(3)定率減税半減−−などのメニューがずらりと並ぶ。地方の負担増はこれに二重、三重の形で日々の生活を直撃することになる。【まとめ・堀文彦】

 ◇多分野に及ぶ自治体の「負担増」

 教育、福祉、上下水道料金など自治体の「負担増」は住民生活のあらゆる分野に及ぶが、中でも障害者や難病患者、生活保護世帯など社会的弱者への支援が縮小されるケースが目を引く。

 北海道では昨年10月から、重度心身障害者や高齢者に対する医療費給付事業を見直し、1割の患者負担を導入。高齢者については対象年齢を段階的に引き上げ07年度に廃止する方針だ。猛反発したのが北海道内の150以上の障害者団体。連絡会を結成して道へ要請を重ね、腎機能障害者の通院費助成拡大やグループホーム拡充などの「見返り」を引き出した。北海道では今年度、難治性肝炎など難病患者に対する医療費助成も廃止・縮小され、医療関連の負担増が相次いでいる。

 秋田市は、商品券の形で支給していた80歳の人への「長寿祝い金」を廃止。65歳以上の高齢者のインフルエンザ予防接種については、自己負担額が1回1000円から1500円に引き上げられた。前橋市は77歳(喜寿)の敬老祝い金を廃止。横浜市は基本健康診断の自己負担除外対象年齢を65歳以上から70歳以上に引き上げた。

 佐賀市は75歳以上のバス乗車を有料化。京都市では70歳以上の市バスや地下鉄の無料パスを廃止したが、市民から「高齢者の社会参加が後退する」と批判が起きている。

 水道料金や下水道使用料の引き上げなど、生活基盤を直撃する負担増も目立つ。福島、島根、鹿児島の3県は「森林」や「水源」保全を目的とする独自課税を導入。農林中金総研の調査報告によると、渇水や森林荒廃を背景に同様の「森林環境税」などの創設を検討しているのは昨年9月末現在で38都道県に上った。神奈川県では「水源環境保全税」を新設する議案が提出されたものの、議会の猛反発を受けている。


投稿者 : 記入なし 日時 : 05/07/03 11:03
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