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犬以下の生活

Author:泥酔者 ( Profile )
金が無くても失う物は何もないが、プライドを無くせば全てを失う

 ■ 2010/11/03 (水) 人生で一番長かったあの日


最近、独り鬱屈としながら酒をあおっていると、昔のことをよく思い出します。

・・・その日、私は2交代制の夜勤日でした。
19:30から仕事だったので、昼過ぎには就寝して17時頃に起きるという状態でした。
いつものように13時頃に酒をあおって就寝の準備をしていると、実家から形態に電話が入りました。
いつもたわいのないことなので留守電にしたまま応答しなかったのですが、この日はたまたますぐに留守電を聞きました。
すると、母の声で「兄ちゃんが死んだって!早く来て!」と泣き叫ぶ声でした。
その瞬間、私の血は逆流し、全身の毛が逆立った衝撃にかられました。

兄と私はそれほど仲がよくなく、私が独り暮らしをしてからというもの何年も顔を合わせていませんでした。
兄は色々と問題をかかえており酒に溺れ、かなり精神的に不安定で危険な状態がもう何年も続いていました。
正直な話、兄はまともな死に方はしないのでは・・・という漠然とした感覚を持っていましたので、この電話の後、私は「遂にこの時が来てしまったか」という感想でした。

私は泥酔状態にもかかわらず、すぐさまバイクで兄の遺体が収容されているという警察署に急行しました。
ロビーで待っていると、父母と次兄一家がやってきました。
まず、私と兄で兄の遺体に面会しました。刑事ドラマで見るような、まさにそんな感じでした。
薄暗い倉庫のような所で、粗末な毛布をかけられた兄の遺体は複数の警察関係者に囲まれていました。
数年ぶりに顔を合わせた兄は、以前よりも更に頬のこけた感じでした。幸いというか、額に傷があるものの遺体の損傷はそれほど激しくなく、一目で兄と確認することができました。

確認後、外に出ると母が「兄ちゃんだった?」と聞いてきました。私が「うん、間違いない」と答えると、母は義姉と姪に支えながら大声で泣き崩れました。

私は遺体との面会はとりあえず控えたほうがいいと思いましたが、母は会うと言って父と共に遺体に面会しました。

母は遺体を見るなり、「兄ちゃん何してるの!起きんかね!起きんかね!」と何度も体をゆすり、更に泣き崩れました。
父は、「この馬鹿が!この馬鹿が!」と力なく泣きながら兄の頭を叩いていました。

その後、私は一旦アパートに戻って実家に行くことにし、父母達は実家に戻りました。
遺体は司法解剖をしたほうがいいということで、葬儀まで警察に預けることになりました。

アパートを経由し実家に戻ると、私と次兄は葬儀の段取りなど様々な手続きについて話し合いを始めました。

・・・その日、兄は昼過ぎからの出勤だったようです。部屋には不在だったようですが、昼からの仕事前に医者に行くことが度々あったらしく、その日に不在だったのにも通院だろうと思い、いつも通り弁当を作って待っていたそうです。

炊事場に行くと、熱冷ましに蓋を開けてままの兄の弁当がそのままに置いてありました。
二度と兄の口に入ることのない弁当・・・この弁当を見た瞬間、この死が全く予期されていなかった死であり、死んだという現実を鮮烈に私の頭に焼き付けました。

・・・フィクション、ということにしておいてください。一応・・・


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めとろん 読ませていただきました。 (10/11/03 21:59)
サイコロ 了解 (10/11/03 20:27)


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