韮山城籠城記

9月の再就職から半年。
その後を何もご報告していなかったので、まとめて掲載しておきたく思います。

入社したのは、大手総合商社の財務部・経理部・審査部をまとめて子会社化した会社。
もともとが親会社の一部分だった訳だから、周囲の大半がいわゆる「商社マン」だし、全てが「商社の言葉」で語られる環境の中にいます。
部署ごとの優劣、年次、職階による明確な身分制度であった銀行という組織の中にいた私は、事務職の女性が会議で対等に意見を述べたり、「栄転」と「左遷」の間に明確な差がないことなど、商社風のフラットな文化には大変戸惑いました。
先日などは、取締役と言葉を交わす機会すらあったのですが、それを「良い機会」と周囲が言ってくれたのは、象徴的な出来事だったと思います。
銀行時代は、副頭取と「目が合った」ことを「分不相応」として、後日きつくお説教された経験すらあるものですから・・

今は、主に担保管理を担当しています。
驚くべきことですが、大手企業であるにも関わらず、「担保」については、長年たった一人の女性が管理してきていたのです。
ともかくも、ありとあらゆる担保を一人で管理してきたような人ですから、単に融資の片手間としてすぐ司法書士に投げてきた銀行時代の私などと違って、とにかく正確で、なおかつ、会社のデータベースも、その人独自の担保ロジックを反映したようなものなので、キャッチアップの作業が大変です。（最近そのあたりの事情がようやく分かってきたような状況なのですが・・）
今は、この女性の指揮下に入り、もくもくとこの会社独自（あるいは商社風）の担保のあり方、管理の仕方について学ぶ日々。
自らの担保知識の不足を身にしみて感じています。

とはいえ、上司筋にあたる男性役席者の発言を総合すると、私に与えられた役割は、この女性の単なる後継者になることではないようです。

要するに、巨大な会社がたった一人の個人に片寄せしてきたひとつの作業を、組織として管理下に置きたい。だから、将来は財務分析を主とし直接案件に関わる男性を数年そこに貼り付け、審査全体の枠組の中で担保を語れる人間を作る・・

これが狙い。

逆に言うと、そこにこそ私の仕事の最大のジレンマがあるわけで、複数いる審査マン達の方を向いて仕事をすべきか、事実上の上司に当たる女性の顔を立てるべきなのか、全ての案件で狭間に立たされるのです。

先日は、有価証券担保の扱いについて意見が割れ、双方がそれぞれのプレゼンを行う、というような事態も起こりました。
私としては、女性の意見に従って無風でことが収まるのを期待していたので、本来はこうしたことをやりたくなかったのですが、男性役席者達が私の立場を強化して担保管理担当係への牽制を図ろうとの意図も働いたらしく、気がつけば会議の議題となり、結果的に私の案が通る形になってしまったのです。

以来、職場で対女性に使う気遣いの増大ぶりといったら・・
女性の方も「脅威」を感じている様がありありですが、今は隣席同士で人間関係を壊さないようにお互いに苦労している状況です。

更に最近、私のほかにも銀行出身者が入ってきました。
審査マンとして・・
仕事の内容から行けば相手が一歩リード。
更に、同業種出身者として比べられる可能性も感じています。
いろいろとあるけれど、負けないように頑張らないとな、というところです。