Transparent lie

あまり好きじゃなかった自分の名前が
アンタに呼ばれるときだけ、特別大切な物に思えた。


元々、自分に不似合いなこの名前が大嫌いで
呼ぶやつ、呼ぶやつ「嫌いだから呼ぶな」つって
片っ端から牽制して断固として呼ばせなかった。


けど、どんなに訂正してもあきらめなかったアンタが
呼ぶたびカワイイっつって笑うから…あきらめた。

アンタがいなくなってから
いい年した大人をちゃん付けで呼ぶ馬鹿はいない。

いないことにほっとしながら、どこかで深く絶望している。

会えるはずもない人間の声を人ごみの中探してしまう俺とアンタ
ホントはどちらが馬鹿なんだろうな。


ま、今更意味のないことだけど。


なんだかんだで
もう５年も使ってるもう一つのHNが、実はアンタの名前だなんて事実と
同じくらい…意味のないことだ。


もしこれをアンタが知ったら、あんたはなんていうかな。

気持ち悪いって罵られるかな。
それともあのときみたいにカワイイっつって大人の余裕で笑うかな？


アンタと同じ年になったけど
アンタのことはやっぱりわかんねぇよ。


成長ネェな。俺。