Transparent lie

墓参りに行ってきた。この間の豪雨の日。
別に、その日が命日ってわけでもなかったんだけど。
なんとなく。

日本の墓は風情がないね。
狭いスペースにぎゅうぎゅうと
所狭しと言わんばかりに墓石がならんでた。

しかも、その人ひとりひとりに墓があるっつうわけでもなくて
「〜家之墓」っと一族単位で詰め込まれてる。

死後の世界なんか信じちゃいないけど、もしも魂ってものがあると仮定すれば
あの協調性のない我儘な性格考えりゃ、一緒くたにされるなんざ　
「ありえないっ」つって切れそうだｗ

入口から見て一番奥の周りよりワントーン暗い墓石の前に立つ

思いついたまま、ぶらっと来たから
線香も、花も、供え物もない。
考えてみれば傘も持ってなくて、紺色のパーカーが水吸って重かった。

せめて手を合わせようと思ったけど、
なんか、あの人にいいたいことなんて一つも思い浮かばなかった。
もし願い事なんかした日にゃー　絶対かなわないように画策しそうだ。

とそこまで考えて自分の馬鹿馬鹿しさに辟易して
墓石二回ペシペシ叩いて帰ることにした。……どう考えても挙動不審だ。



あの人に言いたいこと一言もなんかない。
…まして黒光りする冷たい石になんてあるわけもない。

そういや、成仏してくれっつう手もあったけど、
あの人は人多いとこ嫌いだから天国も地獄もやっていけないような気がした。

まぁいいや、その辺さまよってろ。
…でつまんなくなったらうちに来てもいい。
どうしようもなくなったら、そっちに連れてってもいいよ。


ーなんてな。