日記HOME TOP タイトル一覧 月別 


51歳独身の日記

Author:ちょこのこ ( Profile )
死ぬ気持ちもないけれど、生きる気持ちも起きない。

 ■ 2013/09/08 (日) 第二話「釣りをする人」


「大丈夫だ!気にするな。」
突然現れた、その人物は馴々しく話かけてきた。

男はこの人物を少しうっとうしく思えたが、どこか自分の心の中を覗かれている気がしていた。
「あなたは……」と男が口を開いたと同時に、この人物は話し出した。

「いやぁ〜今日は坊主だったよ。」と大きな声でつぶやいた。
よく見ると、釣り竿を持ち長靴を履いて腰に備中を下げている。
坊主とは、一匹も釣れなかったことだった。

こんな夜更けに…と思ったが、そのまま話を聞いていた。
「もう十年になるかなぁ、俺は毎日釣りばかりしてんだよ。」と聞いてもいないのに自慢げに話している。

「えっ毎日?」
と、ここで初めて質問した。
「おかしいか!」
その人物は少し不満そうな顔つきで答えた。

だから、こちらも
「だって、釣りだけだなんて……。何かしないといけないことあるでしょう。」
「仕事とか、ほら近所の体裁もあるのでは…」
ここまで話すと、男は少し立入りすぎかなと気づき口を閉じた。
気分悪くしたかなぁ。

こちらの心配をよそに、大声で笑いこう言った。
「釣りだけしているのがそんなにおかしいかぁ…ははは。俺は昔からこうして暮しているがなぁ、生きていくなんて簡単じゃよ。」

なんだよ!まったく
こんないい加減な人に「大丈夫だ!気にするな。」なんて言われたって嬉しくもない。
男は少しムカついて気分が悪かった。

「お前、俺のことを羨ましく思っているんじゃないのか」
・・・図星だった。
小馬鹿にしつつも、男は羨ましく感じていたのだった。

「悔しかったらやってみなよ。」
「お前は自分がやりたいことをするために努力したのか。何かを犠牲にするくらい頑張ったのか。」
男は返す言葉がなかった。
「他人を見る前に自分を見ろ!」
そう言ったかと思うと、その人物はいなくなっていた。

あの人物は何だったのだろう?
「言うだけ言っていい気なもんだよ」
男はそうつぶやきつつ、心の中に穏やかでないものを感じていた。
男を乗せた電車は闇夜を走る。
再び車内は静寂に包まれていた。
つづく


お名前   コメント

ちょこのこ 釣りは、一人でも家族でも子供でも大人でも楽しめます。だから、思い出も多いですね。 (13/09/09 13:35)
うーさん そういや私も釣りに夢中だったことありましたねー。釣りベタだったなー (13/09/08 23:26)
ちょこのこ 暇人さん、道楽人になりたい。極めた人は強い、そして生き方を知っています。 (13/09/08 22:22)
ちょこのこ ひくいどりさん、あはは、サクラサイトね。おもしろいです。座布団1枚 (13/09/08 22:19)
暇人さん 自分の好きな事だけできる人は強い。それは言えますね。 (13/09/08 20:12)
ひくいどり もしかしたら男はサクラサイトの人かも。笑 (13/09/08 17:49)


[前] どうしよう(~_~;) | [次] 現実逃避します。よかったら読んでください。


51歳独身の日記TOP

タイトル一覧 月別