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なんとなく・・・。


 ■ 2008/01/16 (水) vol 5 「小雨」


葬儀や気持ちの整理

やっと10月を迎えた

受験勉強は遅れをとってしまったが、根性で乗り切ろうとしていた。

「最近は10月でもあんまり寒くないね。」

「ああ。そうだね。」

バスを待つ2人は少しぎこちなかったが、落ち着いた雰囲気。

お互いの家族の死

それについてはあまり話さないようにつとめていた。

「勉強はどうなの?順調?」

「うん、どうだろ?がんばるよ。」

「がんばって。」

本来なら大学進学後の話をするところだが、そこまでのテンションはない。

「じゅんちゃんあんまり寒くないのに、手袋はずさないね・・・。」

「う、うん・・・。」「なんか手だけ寒いんだ・・。」

「ふ〜ん・・。変なの。」

二人にはまだ肉体関係はない。

薄手の革の手袋なので、食事時もみゆの前ではつけたままだ。

「ねぇ。手袋とってよ。」「そんなのおかしいよ・・。」

「いいよ。」

じゅんは右手の手袋を脱いだ。

「変なの!別に普通じゃない。なんか変に期待しちゃった。」

ちょっと鈍感なみゆは左手までは脱げと言わなかった。

左に隠された数字は「396」のままだ。

家族を失ったことで、チカラを使いたいと思う時だけ使えるようになったのだ。

あれから犠牲者は出ていない。

しかも、犠牲者を指定できるようにしていた。

この希望で「3」使ったのだ。

しかし、犠牲者を生き返らせることは不可能だった。

その希望では数字は減らなかった。

ただ、みゆの姉の掌には「1」、じゅんの家族は「2」「3」「4」と

刻まれていた。

世間にはこのことは表立ってでていなかったが、これ以上数字がある死体がふえれば

きっと大変なことになる。

みゆや家族に「数字」を見せるわけにはいかない。

バンソウコウで隠したりもした。

何の目的で掌に数字をつけたのか?

あの男がつけたのか?

神のしわざか?

バスが到着するころには、小雨がふりだした。





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