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みんなで物語を作りましょう

カテゴリ:雑談
みんなで好き勝手に文章をつなげて物語を作ろう(一度に長い文章はやめてね)
それではスタート


ある無職の男がいました


投稿者 : 記入なし 日時 : 04/06/18 13:14
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見たこともないその≪何か≫は、全てを包み込むような不思議な魅力を湛えていた。
カウンターの奥から戻ってきたタロウさんが手にしていたのは、カクテルグラスに満たされた≪何か≫だった。彼はそれを僕の前へと、厳かに置いた。気のせいか、辺りの空気が変わったようだった。
鎮座するかのようにグラスに収まるそれは、あらゆるの闇を凝縮した漆黒と、澄み切った泉さえ陰って見えるほどの透明さとを合わせ持っていた。そしてどこか混沌としているようでもあり、また純然としているようにも思えた。時折、細かな光の粒子が中心部から拡散し、渦を巻いては消えていくのだった。
「これは……?」
僕は、そう聞くしかなかった。
「これはね、≪イメージ≫だよ。」
と先生は答えた。

no.2400 ( 記入なし06/07/28 15:09 )


「≪イメージ≫、ですか?」
僕はその言葉を反芻するかのように繰り返した。
「そう。これはね、誰もが思考活動する上で欠かせないものなのです。あなたが何か良いアイディアを思い付いたとしよう。そのアイディアを井戸水に例えるなら、≪イメージ≫はその井戸を掘るための活力であり、無から有を生み出す過程におけるエネルギーの変遷だと言える。≪イメージ≫は質も様々で、通常目には見えない形であらゆる場所を漂っています。そして、取り込んだ人の意識レヴェルと≪イメージ≫の質によって反応も変わり、結果生み出されるものも変わるのです。まあこれは全部タロウの受け売りですがね。
グラスの中のものはね、その結晶です。これほど純度の高いものは、そうお目にかかれませんよ」
そう言うと先生はタロウさんをちらと見て笑った。
目眩のようなものを感じて、僕は椅子の背もたれに深々と身を委ねながら考えていた。
僕が考え事をしている今も、≪イメージ≫は体のどこかで意識と融合し、何かを生み出そうとしているのだろうか?そして、目の前の、この不思議な結晶には、一体どんな力があるというのだろう?
短期間に余りに多くのことが起こり過ぎて、僕は少々混乱していた。夢ならば早く醒めて欲しいと願ったもした。けれども、醒めない夢ならばそれが現実である。するべきことは、ただ一つだった。
僕はそっと、その結晶を湛えたグラスに手を伸ばした。

no.2401 ( 記入なし06/08/01 22:42 )


きっと先生は、こうなることが分かっていたのだろう。静かな口調で、しかし威厳をもって言った。
「≪イメージ≫にはね、作用する時間の方向というものがあるそうだ。高い所から低い所へと水が流れるように、その進行方向は常に一定なのだという。つまり原則的に、時に逆らった思考と≪イメージ≫は決して交わることはないのです。
けれどもあらゆる物事には例外が付き物です。質、量ともに膨大な結晶を取り込んだ人は誰もいない。だから何が起こるのかも、全く誰も予測できない。ただ、この世界はあなたであり、あなたが世界です。それだけが唯一といっていいアドバンテージでしょう。うまく≪イメージ≫をコントロールできれば、あるいは……」
僕にはもう覚悟はできていた。

no.2402 ( 記入なし06/08/02 01:27 )


すると、それまで黙々と作業をしていたタロウさんが僕に話しかけてきた。ぴんと立っていた耳はお辞儀をするみたいにやや下を向き、しきりに鼻をひくひくさせていた。僕にはそれが、彼独特の感情表現に思えて可笑しかった。すこしばかり困惑しているような、そんな感じなのかもしれない。
「何かリクエストされたい曲などはありませんか。いいえ、どうかおっしゃってください。わたくしにできることと言えば、それくらいしかないのです。こちらへご案内したこと自体が間違っていたのではないかと……」
「僕はそうは思っていませんよ」
タロウさんのお辞儀をしていた耳は飛び上がるようにぴんと立ち、改めて僕を見詰め直した。
「僕は、そう思っていません。タロウさん、ありがとう」
それは本心だった。この後に何が起こっても、僕は誰も恨んだりはしない。
僕たちは硬く握手をし、そして笑った。肉球のひんやりとした感触が、僕の手のひらにずっと残っていた。
「では、リクエストを」
僕は少し考えて、最近よく聞いていた曲名をあげた。
「じゃあ、スー・レイニーの『Wrap Your Troumles In Dreams』を」
するとタロウさんは、ワン!と一声だけ鳴いて、裏へと入へと消えて行った。
じきに曲が始まった。

when skies are coludy and grey
they're only grey for a day……

軽やかな旋律の随に、声には出ないで、小さく唇だけを動かして歌った。
手に持っていたグラスを傾けると、それを飲み干した。
目の前の光景は一瞬にして消え去り、僕は黒い光に包まれた。

no.2403 ( 記入なし06/08/03 22:07 )


もう随分長いこと、宇宙空間のような場所を流されていた。全てを包み隠す常夜の層と、どこまでも突き抜けてゆく澄んだ空気の層とが、推し量ることさえできないほどの悠遠の彼方まで、それは幾重にも重ねられたヴェールのように連なっていた。互いが触れ合うと、それこそ膨大な数の光の塊が四方へ飛び散り、それらは銀河系のような渦を巻いて消えていった。行く先も分からない流れに身を任せている間、僕は飽くことなくそれらの興亡を眺めていた。ぼんやりとした頭の片隅で、こんな光景をどこかで見たことがある、と感じていた。遠い昔……。いや、ごく最近……?時間という概念からの束縛を逃れ、自分の存在さえ失われてかけていくように感じるこの空間で、記憶というのは蜘蛛の糸よりも頼りない物だった。
僕がここへ来て、一分しか経たっていないのか一億年経っているのかも分からなくなっていたけれど、何かを思い出そうとしたのはこれが初めてだった。

その時、無音であるはずの空間に、歌が流れた。

no.2404 ( 記入なし06/08/04 23:49 )


♪when skies are coludy and grey
 they're only grey for a day……

次の瞬間、僕は全てを理解した。
誰の歌っている何という曲か、見覚えある光景と空間との関係、僕がここにいる理由。先生のこと、タロウさんのこと、そしてカナのこと。あらゆる記憶は輝く光となって呼び合うように集まり、僕の中を満たし、空間を満たしていった。やがて猛烈な光の洪水に飲まれ、あまりの眩しさに目を閉じるとそのまま意識を失った。

再び意識を取り戻した時、僕は見慣れた景色の中にいた。深く青い空には膨れ上がった積乱雲がそびえ立ち、ジリジリと肌を焦がす太陽は、とろけそうなアスファルトに真っ黒で短い影を落としていた。時折通る自動車が熱風を巻き上げながら走り去っていった。
またあの夢を見ているのだ、そう思った。

no.2405 ( 記入なし06/08/07 08:37 )


陽炎に彼女の背中が揺れていた。呼びかけようとした僕は、はっとして思い留まった。と同時に持っていたバッグを投げ捨て、彼女に向かって矢のように走り出した。
まるで犬にでもなった気分だった。踏み込んだ足はしっかりと地面を掴み、強靭なバネが力強く体を押し出していった。街並みは残像となって後ろへ流れていく。そして、彼女との距離はぐんぐんと詰まっていった。
彼女はもう十字路に差し掛かっていた。勢いを殺せない僕はそのまま体当たりをする形で、彼女を道の向こうへ突き飛ばした。転がるように倒れこんだその姿を見ながら、強く押しすぎたかな、擦り傷や打ち身くらいならいいけど、とそんな事が頭を過ぎるのだった。
その直後、僕に向かって突進してくる車の影が、視界の片隅に映っていた。
わずかな瞬間だったけれど、こちらを振り向いた彼女の顔が微笑んでいるように見えた……。


サイレンの音が遠のいていく。野次馬の群れは散り散りになりながら、口々に何かを話し合っていた。
――即死だったって?
――自分で飛び出して行ったのよ。
――何年か前もここで事故があったねぇ。
――まだ若いのにかわいそうになぁ。
傾きかけた太陽が、空を、雲を、街全体を赤く染め上げていた。
どこから飛んできたのか、夏の終わりを告げる赤蜻蛉が一匹、太陽を背に一層赤みを増して輝いていた。

                終わり

no.2406 ( 記入なし06/08/07 11:43 )


終わってどうする!!!

no.2407 ( 記入なし06/08/20 01:15 )


終わり、と路上にかかれた血文字を見て、
「終わってどうする!」
と叫び、彼女に駆け寄ったひとりの通行人がいた。

no.2408 ( 記入なし06/08/20 01:19 )


やあ、みんな元気かい?僕の名前はヤマダヒサシ。ヒサって呼んでくれよ。
今日僕はある事件に遭遇した。路上に書かれた「終わり」という血文字!!
いやぁ、それを見たとたんにピンときたね。サンダーが脳天を直撃したかのような衝撃を受けたわけさ。
僕は思ったよ、「こいつぁ匂うな」ってね。
いや、匂うっていってもオナラとか足の裏とかのことを言ってるんじゃないんだぜ。
そこんとこだけは絶対に誤解しないで欲しいんだ。
だってほら、僕はきれい好きで毎日お風呂にも入ってるし、毎朝快調だし、歯だって10分くらい丁寧に磨いてるんだ。
香水とかはあまり付けない主義なんだけど、キミが付けてって言うならちょっとくらいいいかなとは思うよ、うん。
ああそうだ、それなら僕に似合う香りを一緒に探してくれないかな?
そういうのってほら、女の子のほうがセンスあったり詳しかったりするしさ。
でもね、本当はキミの選んでくれたものなら何だっていいんだ。
だって僕はずっと、キミのことが好きだったんだ。付き合ってください。

no.2409 ( 記入なし06/08/28 13:41 )


「そんなんウチいややわ〜。じぶんもっさいで〜なんか。」

思いがけない衝撃の答えが返ってきた。即答だった。

no.2410 ( 記入なし06/08/28 13:44 )


そして、
雨の中をひたすら走って逃げて、
元彼女の事を思いながら部屋に戻り
PCに向かい試行錯誤の上
決めた!
うん。あの時はただ単に匂いだのって
妄想に過ぎなかったんだ!と。
でも元彼女には未練のない夜を迎えるのであった。

no.2411 ( 06/08/28 13:56 )


一服した後おもむろにベランダに出てみると下の駐車場で不審な人影を発見した。
2〜3人のイカツイ男たちが女性を車に押し込めているではないか!
理性よりも本能が反応してしまい、俺はマンション三階にもかかわらずベランダの手すりを越えて奴らの車のボンネットに飛び込んだ。

no.2412 ( 記入なし06/08/28 15:14 )


・・・「どぴゅ♪」

no.2413 ( スレマスおやじ06/08/28 15:22 )


その車はBMWのニュー550iだった。
俺が飛び込んだボンネットに収まる新エンジンは徹底的な見直しを図られており、出力を大幅に向上させたという。
排気量を4798ccに増やし、最高出力は270kW、最大トルクは490Nmと、従来モデル「545i」のV型8気筒エンジン(4398cc)に比べそれぞれ34ps、40Nmアップした。
ちなみにニューBMW 540iは排気量3999ccで、最高出力は225kW、最大トルクは390Nmだ。

no.2414 ( 記入なし06/08/28 15:59 )


BMWは、控えめだけれど大排気量らしい重厚な音を残して走り去って行く。
失業中で当分収入の当てもない僕は、今後の維持費を考えると手放すしかなかった。
考えてみれば初めて目にする自分の車の動く姿と、赤く灯ったテールランプを見送りながら、僕は過ぎ行く夏を想っていた。
秋はいつだって夏の気配を残しながら、少しずつ、少しずつ、冬への橋渡しをしてくれる。
それを悲しく感じるのは、僕がまだ大人に成りきれていない証拠なのだろう。
それでも――、と僕は思う。あと何回、この季節を通り過ぎれば忘れられるのだろう?
君のことを。

no.2415 ( 記入なし06/09/05 01:49 )


今、僕は無性に煙草が吸いたくてたまらない。
半年ほどまえになるけれど、僕は何かを変えたくて煙草を止めた。何かを、なんて、そんな回りくどい言い方をする必要はないのかもしれない。彼女が吸っていたから、止めた。たったそれだけのことだ。そして今、胸を締め付ける苦しさを、煙草のせいにしている。
本来、止めるべきなのはこの女々しい感傷なのに、僕は手の届くありふれたものにそれらしい意味づけをし、代替する。そんなことをしても結局残るのは、手付かずのままに残った感傷と、自己嫌悪なのだと分かっていても。
ひと時の安らぎを作り出すために、僕は幾つもの何かを代償として失い、気が付けば職も失い、車も失った。笑うに笑えない。では泣けばいいのだろうか?時どき、僕は分からなくなる。自分が何をしているのか、何をするべきなのか。

遠くでクラクションが鳴った。僕は、それを足がかりに取り留めのない物思いから抜け出し、日常の生活に戻っていった。

no.2416 ( 記入なし06/09/08 00:29 )


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