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話題
みんなで物語を作りましょう |
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だから思わず叫んだんだ。
たすけてードラエモン!
no.2300 ( 記入なし05/10/25 00:06 )
ぼくホリエモン。
no.2301 ( 記入なし05/10/25 00:06 )
ブラックデビルが参上した。
no.2302 ( 記入なし05/10/25 00:10 )
あほあほマンも参上した。
no.2303 ( 記入なし05/10/25 00:14 )
メタルスライムが逃げ出した。
no.2304 ( 記入なし05/10/25 00:14 )
≪先生と初めて逢ったのは---中二の夏、そう夏休み前のことだ。
毎日一緒に学校生活を送っていると、目立たないように努力していても、
周囲からのマークがきつくなる人間が出てくる。僕もその一人だった。
転校早々行われた中間テストで、いきなりトップを取っちまった。
体育の時間に行われた1500m走でも、やってしまった。手を抜くのが嫌いだった。
いままでずっと1位だったヤツが不良グループの一人だったらしい。
それから間もなく、あからさまな変化が起こり始めた。
登校して、上履きに履き替える。「痛っ!」…画鋲が入っていた。こんなのは序の口。
体育の時間は、一番最後に教室を出て、一番先に教室に戻らなければならない。
・・・そうしないと制服を探すのにひと苦労するからだ。
トイレは必ず職員用か、三年生の教室横のトイレを使用する。
そうして、しばらくはこちらからは決して相手にせず、やり過ごしていた---。
しかし、徐々に陰湿度はエスカレートし、弁当にチョークの粉が混入する---
教科書がマジックで塗りつぶされる---
終いに---自分が標的になることを恐れてか,声をかけても、誰も返事をしなくなった。
そんな僕を屋上から見つめる人がいたんだ・・・。
何も言わずただ静かに見ているだけ・・・。
でも、その燐とした眼差しは僕に力をくれたんだ・・
見つめ返すと心なしか頷いてくれたようだった。
それが僕と先生のファースト・コンタクト・・・だった。≫
≪僕は決して壊れることは無かった。睨みつけるような眼差しと、注意深く洞察する
クセ、そして、激しい怒りによる胃痛を抱えることになったけれど
・・何かヘンな高揚感があった。自分の正義を信じていたから---。
勉強もするようになり、体力のつく食物を選んで食べる習慣もついた。
勉強も、部活も、心の空白を埋めるかのように、必死でこなした。
ある日、不良グループが誤りに来たんだ。「今までごめん」って---
口では「何が?」なんて言ってたけど、≪こいつらはクズ以下だ≫って思ってた。
万事がうまくいっているかのように思ってたけど---
失った代償は大きかった。
no.2305 ( ┣¨‡┣¨‡05/10/25 01:28 )
あの無邪気だった僕はすっかり影をひそめて、
僕は・・・
僕は心の中で---すっかり人を裁くようになってしまってたんだ。
「あいつらはクズだ・・・」
「どいつもこいつもバカばっかり・・・」
「世の中はどうしようもない奴らの集まりだ。」
≪--なんてすっかりシニカルになって、理屈屋と呼ばれるようになった≫
[人を裁くと、自分もそれに裁かれるんだよな・・・]
≪だんだん自分のことも嫌いになった---。≫
誰も愛さなかった―――愛なんて―――忘れてた。
何もかもが嫌になり、全部投げ出した。
そんな状態で---
冬を過ごし---
春になって---
三年になり、
再びあの人に逢った。
担任の先生があの人だと僕は気づいた。
――僕の中の止まっていた時計が――
再び―――動き出した。
no.2306 ( ┣¨‡┣¨‡05/10/25 01:28 )
生まれ変わった、自分の時間が動き出した。そう思ってた。
あれは2年前。中学3年の春。
勉強も、日々の生活も、すべて灰色だった。
そんな暗雲立ち込める毎日にも、明るい時間があった。
そう、先生がいた。
清楚で、いつも明るく僕に話しかけてくれる、それは唯一の存在だった。
どうでもよかったハンドボール部を辞め、図書委員になったのも、
図書室で先生に会う口実だった。
そして、時々、英語の勉強をみてもらうのが、1日で唯一、自分を素直に出せる時間だった。
しかし、その毎日もそう長くは続かなかった。
ある雨の日、僕は驚愕の運命を目にする。
「3年2組の担任の阿久津先生が交通事故に遭われた。」
HRでそう聞かされた時、無意識に廊下を走っていた。
何故か、分かったのだ。事故現場も先生の搬送された病院も。
僕は病院に駆けつけた頃は、先生は既に息を引き取っていた。
だが、僕は直感で事故現場に向かった。
そこには、美しい黒髪の少女が傘もささずに立っていた。
黒髪の少女:「先生は、いつも君を見守っているから・・・。」
彼女は、そういい残して、去って行った。
「君・・・君は・・・」
話しかけようとしたが、声が出ない。
少女は、夕闇に消えた。
僕はその場でただ呆然としたまま、雨の中を先生の声らしきものを反芻した。
「先生は、いつも君を見守っているから・・・。」
あれは、あの言葉は、先生が言ったんじゃない。しかし、先生の言葉だった。
・・・ふと我に返る。
「そうか、緑川、君と知り合ったのも、中学3年の図書室だったね。」
緑川:「また、どこかにトリップしてたのね!危ないぞぉ!」
屈託の無い笑顔を見せながら、彼女はまるで不安を消し去ろうとしたかのような感じだった。
「あれは先生だった・・・。幽霊?いや、そんなのはいない。だが、あの黒髪の少女は・・・。」
考えれば考えるほど、頭が痛くなった。
緑川:「顔色悪いよ。どこか、やすみましょうか。」
「ああ」
僕は、緑川の肩を借りて、公園のベンチで横になった。
緑川が膝枕をしてくれた。
恥ずかしいと思う余裕も無かった。
一瞬、覗き込む緑川の顔と阿久津先生の顔がシンクロする。
緑川:「大丈夫、いつも君を守っているから・・・。」
「!!」
どっと冷や汗をかく。
思いも寄らぬ戦慄を覚えながら、僕は必死でそれを打ち消そうとした。
「緑川・・・すまない。」
僕は彼女に身をまかせたまま、心を落ち着かせた。
「・・・あの黒髪の女の子、確か・・・」
そう、あの少女は、記憶に違わなければ、先生の葬式に出ていた。
しかも、姿形そのままに、その姿を見たのだ。いた、見たのかもしれない。
「悪い夢だ。緑川にも心配かけたくない。」
そう思うと、多少は無理があったものの、平静を装う事ができた。
「大丈夫、ごめんね。」
僕は緑川にそういうと、彼女の膝から飛び起きた。
no.2307 ( maple05/10/25 02:30 )
突然、
no.2308 ( 記入なし05/10/25 17:03 )
雨が落ちてきた。
僕らは公園の東屋で雨宿りをした。
ポツポツという降り始めからどしゃ降りに変わるまで、時間はいくらも掛からなかった。
時間にすれば一分強、僕らが東屋に駆け込む頃には髪の毛も服も、もうずいぶん濡れてしまっていた。
彼女はバッグからタオル地のハンカチを取り出して、髪や顔を丁寧に拭いている。
ずぶ濡れの緑川は、いつもよりもか弱そうに見えた。
髪を伝う水が、睫毛についた細かな雫が、彼女をそんな風に飾って見せているのだろう。
僕は一瞬、その可憐さに息を呑んだ。
視線を逸らすことも忘れていると、彼女と目が合ってしまった。
「どうしたのよ、呆けた顔しちゃって。拭かないと風邪引くわよ」
そう言うと、濡れていないハンカチをもう一つ取り出して目の前に差し出した。
「あ…ありがとう」
僕は少し面食らったけれど、好意は好意としてそれを受け取ることにした。
そして彼女に習って髪や顔を拭いていると、傍らにある二人掛けのベンチに腰を下ろした彼女は、
バッグから煙草の箱を取り出すと、流れるような手つきで一本咥えて火を点けた。
その時の僕は、まるで種のない手品でも見せられたかのように自分の目を疑ったのだけれど、
しかしそれは間違いなく、煙草だった。
彼女の言葉を借りるならば、相当――僕は呆けた顔をしていたことだろう。
no.2309 ( 記入なし05/10/25 21:12 )
そして僕は思った。
「これ読んでる人いるの?」
no.2310 ( 記入なし05/10/25 21:19 )
ある日、金太が歩いていると。
no.2311 ( 記入なし05/10/25 21:24 )
死にました
no.2312 ( 記入なし05/10/25 21:28 )
でも教会に連れて行き、復活させてもらいました。
no.2313 ( 記入なし05/10/25 21:29 )
失敗して灰になりました。
no.2314 ( 記入なし05/10/25 21:32 )
ヤマダ電器が近くにあったので入ってみた。
今日は平日とあって空いていた。一回りしてみることにした。
バックヤード近くを歩いていたら頭がデカくて、茶黒色の店員がいた。
見ると台車に液晶テレビの箱を乗せていた。
ネームプレートを見たら焦下駄麺麭男と書いてあった。
彼を見たらやる気になったのでハロワに行くことにした。
no.2315 ( 記入なし05/10/25 21:39 )
途中の道で、財布が落ちているのに気が付きました。
どうやら周りには誰もいないようです。
no.2316 ( 記入なし05/10/25 21:45 )
でも俺、警察官だしどうしよう?
no.2317 ( 記入なし05/10/25 21:46 )
財布を拾い、交番に届けました
no.2318 ( 記入なし05/10/25 21:49 )
事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!
no.2319 ( 記入なし05/10/25 21:49 )
あの日も雨だった・・・
突然、校舎上空を覆った黒雲は、
一滴、また一滴と雨粒を降らせ始めた。
≪俄か雨か---≫
先生の事故があっても、僕は放課後、毎日、図書室に足を運んだ。
≪そこしか居場所が無いような気がしていたんだ--≫
≪授業中も--、家に帰っても--、街を歩いていても---≫
≪何処にいても、僕は何処にもいなかった。≫
でもここでは、この図書室にいる時だけは僕は僕でいられるような気がしたんだ。
『人は想い出があれば生きてゆける---』
そう一人で決め込んで・・・。
≪やっぱり今日もここへ来てしまった---≫
≪暗闇の中でようやく見つけた一筋の光−−−それが先生だったのに・・≫
≪先生はもういない---≫
no.2320 ( ┣¨‡┣¨‡05/10/25 21:55 )
先生ははロマン・ロランが好きだった。
おきまりの英訳書を取り出しては、気に入った文章を
僕に和訳させるのが好きだった・・・
『フランス文学』とラベリングしてある棚から、慣れた手つきで一冊の本を取り出す。
え〜と
・英雄とは自分のできることをした人である。ところが、
凡人はそのできることをしないで、できもしないことを望んでばかりいる。
―「魅せられたる魂」―
≪懐かしいな≫
≪それから≫
・理想主義のない現実主義は無意味である。現実主義のない理想主義は無血液である。
―「先駆者たち」―
≪先生、これが好きだったなー≫
≪そうそう、こんなのもあった≫
・自己放棄は偽善である。
―「ジャン=クリストフ」―
≪自己放棄は・・偽善・・か・・≫
≪先生、僕はどうすれば−−−≫
≪今日はもう帰ろう≫
『ピカッゴロゴロゴロゴロ-----』
激しい、雷鳴とともに、突然のスコール
≪ッたく、傘なんて持って来てないのに・・・≫
鞄を肩にかけて、図書室をあとにしようと2.3歩歩いた時---
『ピカッゴロゴロゴロゴロ-----』・・・
−−−−−−−−−−−−−−−−−
黒い瞳の少女がいた。
「傘、持ってないんでしょ?」
「良かったら一緒に入っていきませんか?」
彼女がそう言ってくれた。
---それから僕と緑川は始まった。
no.2321 ( ┣¨‡┣¨‡05/10/25 21:56 )
夢の中で
僕は緑川を追いかけている
「ねえ、僕達が初めて逢ったのはあの図書室だよね?」
・・・・
≪じゃあ、あの幼馴染の女の子は---誰だ?≫
「いつも、君を見守っているから・・・」
!!
no.2322 ( ┣¨‡┣¨‡05/10/25 22:11 )
いつか雨が、降り止む日がくるのだろうか・・・?
下穿きに履き替え彼女を待つ。
群青色の空に
鮮やかな紅い傘が広がる
僕はその瞬間を生涯忘れることは無いだろう。
no.2323 ( 記入なし05/10/28 02:08 )
そう、あんな悲劇、絶対に忘れられるわけが無い…。
その後も全く降り止まない雨は、やがて豪雨となって僕らの住む地域一帯を襲ったのだ。
河川は氾濫し、溢れた水は市街地まで覆いつくした。
汚濁した水に腰まで浸かりながら、僕は家へ帰ろうと必死だった。
みんな無事だろうか?けれども、最悪の事態も考えておいた方がいいのかもしれない。
家に近づくにつれ、水位はどんどん増していくのだった。
no.2324 ( 記入なし05/10/28 10:52 )
そこかしこで車が水没し、立ち往生していた。命と引き換えるには余りにも変わり果てた愛車を、
幾ばくかの未練と共に乗り捨て、人々は高い場所を求めた。
僕の家はあと200mばかり先にある。けれどもたった200mがとても遠く感じた。
まとわり付く衣服。流れる水の圧力。浮かぶゴミ。見えない足元を、障害物が時々さらった。
追い討ちをかけるように、寒さが体力を削っていく。
これ以上進むには、僕はいささか疲れ切っていた。
no.2325 ( 記入なし05/10/28 11:09 )
僕は道のすぐ脇に乗り捨ててあった車の屋根に上った。
そこから塀へ飛び移ろうと思ったのだけれど、水から上がってみるとずぶ濡れのカバンが存外重く、
一瞬ためらった後、僕はそれを投げ捨てた。
軽くなった体で塀へ飛び移り、そこからどうにか民家の屋根に上ることができた。
高い場所から見た街は、それは壮絶なものだった。
僕はまるで、この世の地獄でも見ているかのようであった。
全身の力が抜け、僕はその場にしゃがみ込んだ…。
no.2326 ( 記入なし05/10/28 11:43 )
街全体が、何か形容し難い、おぞましい力のうねりに包まれていた。
暖かな太陽と真っ青な空を分厚く鈍色の雲が遮断し、小石程もあるかと思える雨のつぶては、尚その勢いを増している。
全てを容赦なく打ち付ける雨音は、まるでこの街の悲鳴のようだった。
遠くで助けを求める声が微かに聞こえた気がしたけれど、それさえも瞬時に雨音が掻き消してゆく。
地鳴りの様に体の芯に響く振動と共に、数メートル先の家が流されていくのが見えた。
ここもいずれは流されてしまうだろう。でももう、他に逃げ場はなかった。
助けもなく、周りには自分以外誰一人いない。
完全な孤立が僕を絶望へと追い込んでゆくのに、そう時間は掛からなかった。
≪ダメだ…。僕は、もう…≫
no.2327 ( 記入なし05/10/28 13:51 )
今や水位は、この屋根さえも飲み込もうとしていた。
その時ふと、家族の顔が浮かんだ。みんなはどうしただろう?きっとどこかに非難しているはずだ。
そして僕の身を案じているに違いない。だとしたら僕は助からなければ…。
≪このまま死ぬわけにはいかない、僕は生き延びなきゃいけない!≫
そんな新たな決意が、絶望によって失いかけていた生きる力を、沸々を湧き上がらせてくれるのを感じた。
助かる術はないかと必死で辺りを見回すと、偶然流れ着いて雨樋に引っかかったゴムボートを発見した。
僕は迷わず、そのボートに乗り込んだ。
no.2328 ( 記入なし05/10/28 21:07 )
ボートは被災した市街を流れてゆく・・
一人、また一人とボートに乗り込んでゆく。
もう・・・このボートに乗れるのは、あと1人・・いや、2人ってところか?
あれ・・は?
遙か前方で溺れそうになっているのは・・緑川?
緑川は苦しそうにもがいている。
見ていられない
ボートにまた1人乗り込んできた。
コイツは・・・
no.2329 ( 記入なし05/10/29 00:43 )
乗り込んできたのは黒ずくめの男だった。
何故か顔を見たような記憶があり、不審な人物とも思わなかったあが、
思わぬ行動に出た。男は、ボートに穴を開けだしたのだ。止め様としたが遅かった。
緑川は木に引っかかっていたようだった。が、既に息絶えていたようだった。
僕もそのまま脱力感に身を任せ、流れに呑まれた。
何かが胸を貫くような痛さを感じた瞬間、僕は息絶えた。
no.2330 ( 記入なし05/10/29 00:50 )
こんなとこで・・
こんなんでいいのかよ・・
げぼっ
しこたま水を飲んだようだ。
肩の下、胸の近くに木の枝が刺さっている。
大丈夫、致命傷ではない。
み、緑川は・・・?
no.2331 ( 記入なし05/10/29 00:57 )
緑川の肢体が横たわっていた。首筋まで・・・頭は無かった。
気がつけば、俺の体も様子がおかしい。
下を見れば、俺の体から内臓がはみ出し、胸から下が無かった。
無くなる血液と同時に僕の意識は完全に無くなった。
no.2332 ( 記入なし05/10/29 02:56 )
さっき乗り込んできた黒ずくめの男は、いつの間にか白ずくめになっていた。
沈みかけたボートで流れ着いた、どこかの施設のような場所の屋上に、
胸から下のない少年と頭部のない少女の遺体を引き上げた。
白い衣装を身に着けた男は、ゴムの手袋をはめ、こう呟いた。
「これより術式を開始する」
その描写については省略。
何時間経ったのだろう。少年は意識を取り戻し始め、男は元の黒ずくめに戻っていた。
「手術は成功したはずだ。後は意識が完全に戻れば…」男はさらに続けて言った。
「今回、おまえの受けた手術はかなり特殊なものだ。まあ言って見れば実験ってやつさ。
首のない女は、あれは知り合いかい?だったら感謝するんだな。
胴から下のちょん切れたおまえは、あの女の体をもらったのさ。言ってる意味が分かるかい?
まあいい、今は分からなくてもそのうち嫌というほど知ることになる。
助かったことに感謝するか、それともあのまま息絶えていた方が良かったと後悔するか…。
そんなこと、わたしの知ったことではないがな」
そのまま立ち去ろうとした男は、もう一度振り返って歩み寄った。
「そうそう、わたしの住所と連絡先を渡しておこう。何か問題があったら連絡したまえ。
なあに、じき水も引く。ここにいれば安心さ。じゃあな」
そして男は去っていった。
no.2333 ( 記入なし05/10/29 10:33 )
白い衣装の男が気がついたように言った。
「まちがえた・・・。まぁ、いいか。どうせ死ぬ運命だ。ついでに伝えておこう、前はもう死んでいる。」
そう言い終わるや、僕の体に異変が起きた。僕の体は、内部から膨張し、爆発を起こした。
僕の体ははじけ飛び、再び一瞬の痛みを感じたが、何もかもが終わった。
白い衣装の男「医療に応用するのは難しい。この辺は兄者の方が一日の長か。俺は世界を制さねばならん。」
男は大きな馬に跨り、荒野を去って行った。
no.2334 ( 記入なし05/10/29 11:10 )
数分後、飛び散った肉片同士がまるで呼び合うかのように集まり始めた。
やがてそれは大きな肉塊となり、人の姿を形造っていくのだった。
最終的にそれが元の少年に戻った頃、その傍らには同じようにして復元していく少女の姿があった。
no.2335 ( 記入なし05/10/30 03:25 )
先に戻った少年の形をした生物は、復元していく過程の少女の姿には目もくれず、その隆々とした肉体を震わせ、力強く腕を虚空に突き上げた。
稲光が迸り、大地は揺さぶられた。
その光景は、まるで復活した勇者の力がみなぎっていく勢いのようであった。
傍らには、ほぼ少女の形が出来上がった裸体がガラス越しに横たわっている。
そして、少年は再び眠りに落ちた。
研究員:「恐るべき力です。普通では考えられない。」
博士:「論理的には肉体の蘇生が精一杯のはずだが。しかし、これをここまでにする必要があったのか。我々は神の領域をも侵してしまったのではないか。」
研究員:「仕方がありません。この者達が有する潜在意識しか我々が救われる道は残されていないのですから。」
昼下がりのベンチに美しい女性が小鳥と戯れている。
ここは、とある大学病院の中庭だった。白衣に包まれた医師の中で、蒼いワンピースの少女は一輪の花のようだった。
「翔、あなたはまだ目覚めないの。」
眩い日差しの中で、少女は寂しげな顔で呟いた・・・と感じられた直後。
「もぅ、いつまで寝てんのよ、あのバカ!」
蒼いワンピースの胸には、「緑川」と書かれた名札がついていた。
no.2336 ( maple (凄い展開になってますね。(^^;)05/11/01 01:22 )
研究員:「翔君、彼はこの世界に戻って来てくれますかね?」
博士:「人は人を求めるのだ・・・彼とて人間なのだからな・・」
助手:「いずれにせよ、私達は、彼の中の、キボウにすがるしかない無いんですね」
博士:「それが、キボウなのかまたは楽観、もしくは論理の放棄なのか、はたまた、
欲望なのか、わからんがね。」
研究員:「・・・」
助手:「人が人たる事に理由なんて必要なんでしょうか?・・」
研究員:「全ての生物には生命維持本能が備わっている。」
博士:「そう・・アポトーシスという現象も総体の積極的な生を図ってのことだ」
「彼は自らの意思で再び戻ってくる。そう信じるしかあるまい」
研究員:「でも、どうして、あのコ達だったのですか?」
博士:「・・・・・」
助手:「・・・・・」
蒼いワンピースの少女は今日もベンチで待っている。
彼の覚醒を・・・
no.2337 ( ┣¨‡┣¨‡ (シュールだ---)05/11/03 01:05 )
緑川:「翔---」『どうして、戻って来てくれないの?」
研究員:「翔君の意識レベル確認。イメージを表示します」
博士:「何かが・・覚醒を妨げているようだ・・」
助手:「緑川君に対する純粋なる想いの他に・・ノイズが・・」
no.2338 ( 記入なし05/11/05 03:02 )
博士:「・・は、早くハロワへ行くのだ・・今日は認定日だ 大事な日だ!!」
その言葉を最後に博士は二度と目を開くことはなかった。
no.2339 ( 記入なし05/11/05 17:26 )
1〜2339話までの簡単なあらすじ
気が付くと自分の生まれるより以前の時代にタイムスリップしていた。
さて困った、どうする僕?
no.2340 ( 記入なし05/12/02 23:23 )
ここは---?何処だ? 暑いな--
渋谷?--でも--。周りを見渡す。。何か違う---。
家電屋でテレビを見る。
ニクソン?だよな−−−コレって、ニクソンショック。ってことは71年?
どうして?
そんなバカな--
急に力が抜け意識を失う--
気がつくと、ベッドに寝かされていた。。
『これからどうしよう?』
『同じ徹を踏まないことだ・・・』
『今の知力があればやり直せる・・』
no.2341 ( 記入なし06/01/17 03:41 )
コツ・・・コツ・・・コツ・・・
足音が聞こえる。ガチャリと静かにドアが開くと、そこには警察官が立っていた。
「やあ、気が付きましたか。よかった!」
「あの、警察の方が僕に何の用ですか?」
僕は少し警戒しつつ、彼に訊ねた。彼は笑顔で答えた。
「いや何ね、あなたが昏睡状態だった時に身内の方と連絡を取りたかったんですが、
そもそもあなたの身元が分からなくて。免許証なんかもお持ちじゃないようだし、
ご家族やお知り合いのどなたからもこの件に関して名乗り出て来られる気配もないので
どうしたものかと思ってたんですよ。で、先ほど意識が戻ったと聞きつけて飛んできたんです」
彼は汗を拭きつつ、人の良さそうな笑顔でそう語った。
「じゃあね、とりあえずお名前とご住所、それから勤務されてる会社を教えてください」
no.2342 ( 記入なし06/01/17 19:54 )
僕の額にも自然と汗がにじんだ。それはひどく気持ち悪くて、ひんやりとしていた。
この時代に生まれているはずのない人間に、それはとても答えづらい質問だった。
僕は眉間に指を当てて考えた。いや、正確には思い出そうとする振りをしていた。
わずかの数秒の間に、僕の頭脳は恐るべきスピードで回転していた。
考えてみれば、僕はこの時代のお金さえない。昭和半ばに、平成と刻印された硬貨がなんの役にたつだろう?
身分を詐称したとしても、戸籍を調べられればいずれそんな嘘はばれてしまう。
身寄りもなく、しかしそれを証明する物もいない。ならばそれを利用するべきではないか?
記憶を失くした男として振舞えば、身元についてばれることはないのではないか?
僕は少し沈痛な面持ちを作って彼に答えた。
「僕は…、僕は誰なのですか…?」
no.2343 ( 記入なし06/01/20 15:28 )
人
no.2344 ( うつでも働く青年06/01/20 15:33 )
「ん?1971年!?」俺はフト我に返った。そうだ俺は無類の競馬好きだった。
今日は有馬記念じゃないか!たしか1971年はトウメイが勝った年だな・・
僕は警察官に倍返しを条件に金を借りた。ソッコー中山に走った!気前がイイのかオツムがゆるいのか警察官は百万円貸してくれた。当然全額トウメイに賭けた。大勝した。
警察官に二百万返しても、余りある金を手にした。警察官も大喜びだった。意気投合した俺たちは、
その夜銀座に突撃!女を抱きふぐを喰らいピンドンを開けドンチャン騒ぎをした。
no.2345 ( 記入なし06/01/20 16:05 )
「ところで」とその警察官は切り出した。「あなたは自分のことについては不思議と記憶を失っている」
「ええ、そのようです」僕は慎重に答えた。
「記憶を失ったはずのあなたに、僕はとても運命的なものを感じて百万円を貸しました」
僕はうなづく。
「その結果がこれです。危うく職務を見失いかけました」
「…それについては病院で答えたはずですが」
「確かにそうですが…しかし」
僕はそっと右手の人差し指を立てて口にあてた。
「僕は、自分が誰だか分からないのです。それ以外、あなたには何も教えられない」
僕は競馬で膨らんだ財布をポケットに突っ込むと、警官の肩を叩いてその場を去った。
no.2346 ( 記入なし06/01/20 16:42 )
『さて。これからどうするか・・」
競馬はもういい。一度に多くは賭けられないし。万馬券はめったに出ない。
第一、競馬なんてもう飽きた。
どうしよう・・・
no.2347 ( 記入なし06/01/20 21:19 )
すると、かなり太った大柄な女が近寄ってきてこう言った。
「あなたが大好き」
no.2348 ( 記入なし06/02/25 18:56 )
とにかく逃げた。何も考えずに。いつのまにか仙台にいた・・・
no.2349 ( 文月06/02/25 20:37 )
仙台駅に着き
タクシーに乗ことにした
乗り場に10円が落ちていた。
俺はそれを拾おうとしゃがんだが、ポケットから500円が落ちて排水口に消えた。
no.2350 ( ライフ プリュス06/02/25 20:39 )
拾う気にもなれず、何となく空を見上げた曇っていたが、晴れ間があった。そこにUFOがいるのを見つけ、見ぬ振りして走り出した。
no.2351 ( 文月06/02/25 20:42 )
た と 曇 の間に 。
no.2352 ( 文月06/02/25 20:43 )
上手く逃げたと思っていたのに、その女はなぜか俺の居場所を知って先回りしていた。
彼女はパンパンに膨れ上がった頬を、さらに膨らませるようにしてニコニコ笑いながらこう言った。
「あたし、ダイエットしたことがないの」
no.2353 ( 記入なし06/02/25 20:53 )
もはや、逃げる気さえも起こらなかった。しばらくの間彼女の脂ぎった顔を眺めていたが、嘔吐感に襲われ目をそらした。
no.2354 ( 文月06/02/25 21:01 )
次の日、女がが髪の毛を短く切ってきました。
それを見た瞬間、自分の頭を指さして
「頭、行ったの?」を彼女用に尊敬語に変換して言いました。
「あたまいかれたんですか?」
no.2355 ( ライフ プリュス06/02/25 21:09 )
もぐたんは出てこないの?
no.2356 ( 記入なし06/02/25 21:24 )
彼女は笑って答えました。
「あなたにもっと好かれたいから」
no.2357 ( 記入なし06/02/25 21:26 )
「あっ!時間だ。」
思い出したかのように家路に急いだ。
no.2358 ( 記入なし06/02/25 21:28 )
にやっと笑った顔に何となく不気味なものを感じました。
no.2359 ( 記入なし06/02/25 21:35 )
振り返らず足早に空港へ向かった。
no.2360 ( 記入なし06/02/25 21:37 )
女も付いてきました。
no.2361 ( 記入なし06/02/25 21:38 )
信号待ちをしていると
気の良さそうな2人組の白人が、
「おまえは 日本人か?」
と気さくに
聞いてきました。
「そうだ」
と答えると、
「漢字のタトゥー (刺青)を彫ったんだけど、どういう意味か教えろよ」
と言われ、差し出された腕を見ると『武蔵』と彫ってありました。
「日本で最も有名な剣豪だよ」
と伝えると彼は満面の笑みを浮かべていました。続いてもう一人が腕を差し出すと
そこには『朝鮮』と大きく彫ってありました。
「KOREAだよ」
no.2362 ( ライフ プリュス06/02/25 21:41 )
「KOREA?」
そう、朝鮮という国があった。
現在は日本国韓国府になっている。
そう、かつて・・・
no.2363 ( AJF06/02/25 22:27 )
テポドンが爆発して50年は動植物が住めない土地とされた国だ。そういえばそこにはたしか…。
no.2364 ( 記入なし06/02/26 01:08 )
そんな取り留めのない様々な考えを巡らせながら、僕はハローワークで求人検索をしていた。
no.2365 ( 記入なし06/03/27 19:18 )
2150年の世界
とある学校。サイバー教室。
社会科の歴史の授業。
先生>今日は、いまからおよそ150年前の日本のお勉強です。
生徒>わーい。
先生>当時日本では不景気の極みで、銀行や証券会社がばたばたと倒産し
更に経済格差が広がり、国民の間では不満が鬱積しクーデター寸前でした。
生徒>それで政府はどうしたの?
先生>庶民から0lという金利でお金を騙し取り、税金とプラスして企業を救いました。
生徒>じゃあ一応危機を乗り切ったわけだね。
先生>一応はね。しかし企業は正社員を採用しなくなり、人間を奴隷として
扱える派遣社員やアルバイトなどを使うようになりました。
生徒>それで今も差別があるんだね。
先生>そうです。当時の身分制度
1.公務員
2.経営者
3.正社員
4.派遣社員
5.パート
6.アルバイト
7.たまにアルバイト
8.無業者
9.ホムレス
生徒>江戸時代の士農工商と違うの?
先生>もっとひどいです。
今もなお引きずっています。皆さんでこんな社会を徐々に治して行きましょう。
......
no.2366 ( 記入なし06/03/27 19:43 )
続きが見たい
no.2367 ( 記入なし06/04/02 03:56 )
良い企画だと思うんだけど--
続きが思いつかない。。
no.2368 ( 記入なし06/04/07 03:02 )
若い兄ちゃんが携帯をいじっていた。
隣にばあちゃんがいて、ばあちゃんは
「医療機器使ってるから電源切ってください」と言った。
その男は「来たメールを読んでるだけだから」と言って、いじるのを止めない。
隣のリーマンが
「今は読んでるだけでも読んでるうちにメールが来るかもしれないだろ。切りなさい」 と言った。
兄ちゃん、怒り狂った口調で「ああ?!!」 逆切れだ!リーマンやばいぞ!(兄ちゃんはかなりいいガタイ)
見てる人が皆そう思ったとき、兄ちゃんは携帯をリーマンに突きつけながら言った。
「見ろよ!俺に来た最後のメールは4ヶ月前だ! それ以来誰も送ってこないんだよ! 今更誰が送って来るんだよ!!! 俺から送る相手もいないんだよ!!!」
みんな黙り込んだ。
しかしその中に一人だけ、無愛想な顔をして彼に近付く若い女がいた。
彼女は男から携帯を奪い取ると何か操作をして、再度男に突き返した。
男が呆然としていると、女は自分の携帯をいじり始めた。
しばらくして、男の携帯が鳴った。
男は目を見開いてぱちぱちさせながら携帯を見た。
もうね、多分みんな心の中で泣いてた。男も泣いてた。
世界は愛によって回っているんだと実感した。
ばあちゃんは死んだ。
no.2369 ( コピペだが06/04/13 10:36 )
。・ ゚・。* 。 +゚。・.。* ゚ + 。・゚・(ノД`)
no.2370 ( 記入なし06/04/13 21:44 )
そんな夢を見た。
no.2371 ( 記入なし06/05/08 12:24 )
夢から覚めると明け方だった。
その時、のどの渇きを覚えた。
布団から出て台所で無言で水を飲む。
このまま起きていようか、もう少し寝るかで迷う。
no.2372 ( 記入なし06/05/24 02:33 )
起きる
⇒寝る
no.2373 ( 記入なし06/05/24 10:36 )
二度寝して起きたら11時を回っていた。
空腹をおぼえ、台所に立つ。
食パン2きれと牛乳で満足になる。
今日はバイトはお休み、気が抜けた感じがするが
明日から3日連続バイトなので充電にあてることにする。
バッテリーが切れてからでは遅いのだ。
バッテリーが切れて周りからバッテリーを横取りするのは
やはり恥ずかしいことである。
no.2374 ( 記入なし06/05/24 17:27 )
すべて日教組が悪いのです。
no.2375 ( 記入なし06/05/24 17:35 )
そしてまた今日も股間をコスる。
no.2376 ( 記入なし06/05/24 18:08 )
阪神が今日もロッテに勝ちました。これでロッテ戦勝ち越し決定です。
no.2377 ( 記入なし06/05/24 18:22 )
阪神は勝ったが、その前に履歴書を送り返されているのであまり喜ぶ気にもなれず、早めに床についた。
起きたらちょうどいい時間だった。つけっぱなしのラジオから流れてきたのは、モーツァルトのバイオリン協奏曲第5番イ長調「トルコ風」だった。あのリズムはレギュラーの「はい、はい、はいはいはい!」とぴったり合うのだ。これが親しまれているのは、小学校の時にベートーヴェンのトルコ行進曲を鑑賞したり、ピアノをやっている人なら一度はモーツァルトのトルコ行進曲を演奏したいなど幼い頃の記憶が重なるからだろうと思われる。
no.2378 ( 記入なし06/06/05 00:40 )
幼い頃の記憶といえばちょうど今頃、田植えの季節の風物詩とも言える蛙の合唱だろう。
僕の家の近辺でも数年前までは田畑だった場所が、開発や区画整理によってコンクリートやアスファルトで塗り固められていく。
かろうじて残された土壌も、農家の小規模な家庭菜園と化している。もはや水を引き苗を植えられる環境ではないのだろう。
僕はそっと、目を閉じた。
合唱が始まる夕暮れ時、我が家の犬を連れて賑やかな田んぼのあぜ道を歩くと、僕の周囲から波紋を広げたようにすーっと静まり返る。
時おり、まだ僕の膝にも満たない苗を撫でるように吹き抜けていく風が心地よかった。
ぼんやりしていると遠くで一声、蛙が鳴いた。それを合図に、再び盛大な合唱が始まるのだ……。
no.2379 ( 記入なし06/06/05 10:51 )
それでも今は、過ぎてしまった過去よりも、未来に目を向けるべきなのだろう。
分かっているさ……。静かな寂しさが胸の内に広がるのを感じながら、僕は目を開けた。
そう、確かに目を開けたのだ。僕の瞳は、見慣れたいつもの住宅地を映し出すはずだった。
何度か瞬きを繰り返した。
夕暮れに赤く染まった田んぼが、遠く彼方まで広がっていた。とてもリアルで、鮮明だった。
まださっき想像の中にいるのだと思った。だとしたら自分の想像力は大したものだと、笑えるくらいの余裕はあった。
その時までは。
no.2380 ( 記入なし06/06/08 21:42 )
遠くで誰かが僕の名前を呼んでいた。その声には聞き覚えがあるような気もするし、まったく知らないような気もした。
僕はどうにか声の主を判別しようと、伸び上がりながら目を細めるように窺っていると、次の瞬間にはすぐ傍らで声がした。
「何をきょろきょろしているの?」
振り向くとそこには、カナがいた。
僕は驚きで半開きになった口をどうにか閉じ、明らかに増した瞬きの抑制を試みた。
カナは最後に会った5年前と変わらない笑顔で、僕を見つめていた。
no.2381 ( 記入なし06/06/09 07:31 )
「変わらないわね」
そんな何気ないひと言なのに、僕はもう込み上げてくる涙をどうしようもできなくなってしまっていた。
「カナ……」と名前を呼ぶのが精一杯で、その後は全く言葉にならなかった。
あの夏の陽盛りの、とろけそうなアスファルトの陽炎に揺れていたカナの後ろ姿を、僕は決して忘れることはない。
そして大きな声で呼び止めた僕を、振り向いて手を振ったカナの笑顔も。
次の瞬間、飛び出してきた車がカナの体をゴムマリのように弾き飛ばした時の、重くて鈍い衝突音も。
僕は何もできなかった。走り寄って助け起こすことも、救急車を呼ぶことも、近くの人に助けを求めることもできなかった。
バンパーが少し凹み、フロントガラスが丸くひしゃげた車からよろよろと蒼ざめた顔の運転手が降りてきて、おろおろしながら携帯電話を掛けていた。
どこから湧いてきたのか、野次馬が現場を取り巻くようにしてささやきあっていた。
昼なのに、目の前が急に暗くなったような気がした。暑いはずなのに、寒さで凍えそうだった。
やがて人垣を切り裂くように、けたたましいサイレンと共に救急車が到着したけれど、
何やら慌てふためいた様子でカナを収容すると、再びサイレンを鳴らして走り去って行った。
その日の夜、収容先の病院でカナは死んだ。おそらくは、僕のせいで。
no.2382 ( 記入なし06/06/09 22:24 )
訃報を聞いたのは帰宅してすぐ、僕の両親から知らされた。
時間は深夜近くだったと思う。昼間の熱気が冷め切らずに残っていて、時どきそよぐ風さえ息苦しさを感じる夜だった。
そんな時間になるまで、僕は家に帰ろうともせず、かと言って他に行くあてもなく、ただぼんやりと街を彷徨っていた。
歩き疲れた足を引きずりながら、気が付くと家の前にいた。玄関の明かりに吸い寄せられるようにして中へ入ると、気配を聞きつけた母が、今までに見たこともないような悲しそうな顔をして僕の方へ歩み寄り、静かにカナの死を告げたのだった。
そうして夏は終わり、今までと変わらないスピードで時は過ぎていった。
僕は大学へ進学して実のない三年を過ごし、カナの五回目の命日まで2ヶ月を切った。
「これは、僕の夢?」
「そんなこと、どうだっていいじゃない」そう言うと、カナは無邪気に笑った。
no.2383 ( 記入なし06/06/13 15:07 )
僕は度々カナの夢を見た。
それは決まってあの夏の、彼女の後ろ姿から始まるのだ。そして僕は同じように声を掛ける。彼女は振り向いて、手を振る。
≪だめだ、危ない!≫僕はそう叫ぼうとするけれど、なぜか声が出ない。曲がり角から車は――来なかった。
僕は安堵のため息をついて彼女の元へ走っていく。
紺碧の空は真っ白な積乱雲を湛え、アスファルトの熱は靴を通してとてもリアルに感じ、額や首筋を伝う汗の感覚も、心臓の脈打つ鼓動も、それが夢なのか現実なのか分からなくなっていく。
きっと何事も起きなければ、現実となった光景なのではないか。そう思わせるに足る、ごく日常的な夏の日だった。
そして息を弾ませて追いつく僕に、彼女はこう言う。
「あたしね、この前ここで事故にあったのよ」
僕は言葉を失う。続けて彼女は言うのだ。
「見ていたでしょ?」と。
そこでいつも目を覚ますのだった。
no.2384 ( 記入なし06/06/13 22:22 )
夢はその人の深層心理の表れだという。ならば僕のそれは明らかに、過去への悔恨だった。僕はずっと、罪の意識にさいなまれていた。
最もありふれた死という不幸を、人々は受け入れたり忘れたりすることで乗り越えていく。もちろん犯した罪は償わなければならない。けれども人の生死に関わるならば、更にその対象が愛する人に及ぶならば、生涯を持って背負ったとしても贖罪のほんの一片すら担えないではないか。そう考えると怖くてたまらなかった。
そしてカナの死後、僕は心から涙を流すことができないでいた。信じたくなかったのだ。カナの死も、それに僕が関わっているということも。そして、社会的には何らの咎められることのない事故であっても、そんなふうに理性で片付けてしまうにはあまりに残酷だった。
様々な意識が僕の内でせめぎ合っていて、夢はその表れなのかもしれなかった。
no.2385 ( 記入なし06/06/14 04:29 )
しばらくの間、僕らは言葉を交わさなかった。その間も蛙たちは幸せそうに歌い続け、夕日はあらゆる物を赤く染め上げていた。
もちろんこれが現実でないことは分かっていたし、だからといって全てを否定するつもりもない。もし目の前にいるのがカナの姿でなかったなら、もっと冷静な判断を下せるのかもしれなかったけれど、僕の頭は受け入れることを選択した。それが当たり前だとでもいうように。
ようやく収まった涙を服の袖で拭うと、既に乾き始めていた辺りでかさかさとした音を立てた。でもまた何かを話そうとすると泣いてしまいそうで、鼻の奥に涙の弁でもあるんじゃないとかでも思うようなつんとした痛みに、うつむいて耐えていた。
正直を言えば、僕は彼女から声を掛けてくれるのを待っていたのだ。こんな時まで、僕は恥ずかしいほど臆病で卑怯者だった。
no.2386 ( 記入なし06/06/15 20:55 )
長い沈黙の末、お互い別々の方向へ歩いていった。
再び、自分の過去を思い出す。
多少の無理がきき、栄光と転落を経験した中学校時代だ。
その頃から、栄光や幸せというものはいつまでも続かない。
栄光の後には転落をみる。また、その逆もある。そう思い続けていた。
そこへ、その当時の恩師の知り合いという人物が現れた。
これも運命というものだろう。
no.2387 ( 記入なし06/06/18 23:26 )
バケラッタ
no.2388 ( おーじろー06/06/19 11:52 )
ただ俺はパチンコから足を洗うことができた。今はギャンブルは競馬一本にしている。
no.2389 ( 高野 学06/06/19 11:55 )
おれはナンバーズ4又は3殆ど41本!当てるデ!いちかよぉほぉぅ
no.2390 ( トシ 06/06/19 12:00 )
恩師の知り合いというその人物は、いや、人物と呼んでいいのかも分からない。
とても背が低く、毛むくじゃらで、握手を交わした手のひらには肉球があった。
深々と帽子を被ってはいるが、つんと尖った鼻は時どきヒクヒクと動き、長い舌をだらりと垂らして忙しなく呼吸をしていた。
それは明らかに、僕の知る限りでは犬と呼ばれる動物だった。けれども違う点が3っつあった。
服を着ていること、二本足で立っていること、そして言葉を話すこと。
彼は噛んでしまいそうな長い舌で器用にしゃべった。
「先生はね、ずいぶんあなたを探していましたよ」
no.2391 ( 記入なし06/07/07 22:46 )
その言葉に、一瞬凍りついてしまった。
そう、人生には脚本はない。アドリブの世界なのだ。
隣には在学中にお世話になった先生方の顔がある。
「実は、私の同級生の者が一緒なのですが…今別れたばかりなんです」
といい、彼女の名前をいった。
一同が彼女を覚えているような反応があった。
恩師はさらに続けた。
「こんな場所で会うとね。以前からあなたの話はちょこちょこ聞いていたけど」
私の立場はさらになくなっていった。
no.2392 ( 記入なし06/07/19 22:38 )
「立ち話しもなんだね。どうです、そこらで一杯やりませんか」
先生は右手の人差し指と親指で輪を作り、口へ運ぶ真似をした。それは何気ない仕草に過ぎなかったけれど、不思議と有無を言わせぬ威厳のようなものが存在していた。その後に一瞬だけ見せた、唇の右端を吊り上げる特徴のある笑みは昔と何も変わらず、断る理由も無い僕は、生徒だった頃のようにただ素直に頷くしかなかった。先生が左手でスナップをした。パチン、という痛快な音が辺りに響いたかと思うと、僕らは見知らぬバーのカウンター席に座っていた。
先生の右手には、初めからそこにあったとでもいう様に、お猪口が握られていた。
no.2393 ( 記入なし06/07/20 02:22 )
僕はその空間に異様な感覚に囚われていた。
no.2394 ( 記入なし06/07/20 12:56 )
カウンターの奥ではいつの間に衣装替えしたのか、さっきの犬のような人がバーテンの格好で何やら作業をしていた。僕はしばらく彼の行動を観察していた。グラスを磨いたり、サラダを盛り付けたり、氷を割っている姿は堂に入っていて、隙のない身のこなしは見惚れるほどだった。黒いスラックスのお尻の部分には穴が開いているらしく、そこから垂れた彼の尻尾が時どきふわっと波打つように揺れるのさえ、洗練されて見えた。
「何をぼうっとしているんだい。さあ飲みなさいよ」
そんなことを横から言われるまで、隣に先生がいることすら僕は忘れていた。
先生は僕にグラスを持たせると、手元のビール瓶を無造作につかんで注いでくれた。もういくらか酔いが回り始めているのか、傾きの加減を誤って勢いよく注がれたビールは、半分以上が泡だらけだった。構わずそれを一息で飲み干すと、口の周りに付いた泡を拭ってから先生に小声で話しかけた。
「あの人はどういう方です?先生の知り合いということでしたが」
「彼かい?彼はね、タロウというんだ」と、先生は言った。
no.2395 ( 記入なし06/07/21 11:58 )
「タロウさん、ですか」
僕がそう言うと先生はほんのりと赤みのさした目で、何処か遠いところに視線を移して話し出した。
「15年と少し、十分生きたといえばそうなんだろう。
私には子供がいなくてね。かと言って特別に犬が好きだというわけでもなかったのだけれど、ほら時どきあるでしょう、≪売ります、買います≫だとか≪探してます≫なんていうのが新聞の欄に。普段はそんなところを読んだりはしないんですが、その日はたまたま目に入ったんですね。≪子犬、貰ってください≫の文字に、はたと目が留まった。
住所を見るとそれほど遠くもない。興味が湧いて電話をしてみると、初めに出たのは小さな子供の声でした。たどたどしいしゃべり方だったけれど、しっかりしたお子さんだなという印象を受けました。その後で代わった親御さんも、話し方からその人となりが容易に想像できるような誠実そうな感じだった。おこがましいけれど、こんな人たちが飼い主なら貰ってもいいかな、と思いました。初めてタロウに会ったのは、それから五日後でした。帰り際、両親になだめられながら幼い瞳がずっと、僕とタロウの後姿を見送っていました。
実を言うと家内にはまだ内緒にしていてね、それが少々気がかりだったのだけれど、私の杞憂に過ぎませんでした。喜んで新しい家族に迎え入れてくれたし、私なんかよりよほど溺愛していた。タロウという名前も家内が付けたんです。飾り気がなくて呼びやすいところにこだわったんだそうです」
そこで先生は一息ついた。僕は先生のグラスへ丁寧にビールを注ぐと、残ったわずかのビールを自分のグラスに注いだ。
no.2396 ( 記入なし06/07/24 12:13 )
「僕は……、僕は何のためにここにいるのでしょうか」
グラスの中の泡を見つめながら、確かに僕はそう言った。先生に対してでも、タロウさんに対してでもなく、その言葉は輪郭を持たない擦りガラスの影のようにぼんやりとしていて、なぜそんなことを思ったのかさえ僕自身、分からなかった。
「吸ってもいいかな?」
先生は灰皿を指差すと、煙草を吸うまねをした。「どうぞ」と言うと、ポケットからマイルドセブンを取り出して一本咥え、店のマッチで火を点けた。しばらくの間、先生はまるで機関車にでもなったように立て続けに濃い煙を吐き出していた。一分ほどで煙草を灰にすると、先生は言うのだった。
「カナさんが亡くなってから、あなたはまるで人が変わってしまった。あなたも分かってはいたろうけれど、他の先生方もずいぶん気に掛けて下さっていてね。悲しみは多くの生徒にも広がっていたし、あなたばかりに時間を割くわけにもいかないのが実情でした。けれども私にはなぜか、あなたの中に特別深い闇が広がっていくように見えたのです。
気付きながら救うことができなかった私に、何かを語る権利があるのかどうかは分からない。ただ、これだけは言えると思うのです。あなたはその心の闇を解き放つためにここにいるのだとね」
no.2397 ( 記入なし06/07/26 08:18 )
「この世界は僕の心なのですか」
今度はしっかりと先生に向かって、そう尋ねた。
「そうです。あなたは救われることを望み、私は救いたいと願い、タロウはその仲介役を担った。それはあなたのためでもあるし、カナさんのためでもあるのです」
そう言いながら先生は、カウンターのタロウさんに何か合図を送った。タロウさんは頷くと、奥へと消えていった。そして僕は、先生の言うカナのためだという言葉を、今ひとつ理解できずにいた。
no.2398 ( 記入なし06/07/27 12:11 )
先生は続けて、話し始めた。
「さっき話しましたね、タロウが我が家に来たときの経緯を。私たち三人にカナさんという共通な接点があるとすれば、そこ以外にない。つまり、私が電話を掛けたとき最初に出たお子さんがカナさんであり、タロウはカナさんの家で産まれ、あなたはカナさんの幼馴染みなのです。微々たる繋がりなのかもしれないけれど、彼女を亡くした悲しみだけで十分じゃあないですか。その悲しみが連鎖を起こし、新たに悲しみを生み出そういうなら、何とかして断ち切らねばならなかった。けれども抜け殻となったあなたにはどんな言葉も虚しく響き、何の手立ても施せないままやがては卒業の日を迎た。その数年後にタロウは息を引き取りました。そして私は、時どき奇妙な夢を見るようになった。
こんな夢です。
私はタロウを連れて散歩をしている。とても暑い真夏の日です。仰ぎ見る空からは射すような陽射し。そんな日は日陰を選んで歩きます。タロウの足に、焼けたアスファルトは酷だからね。しばらく歩いていると、タロウは突然ヒモを解いて走り出すのです。やがて走っているのは自分なのだと気が付く。私はタロウになっていたのです。風を切って走り続け、辿り着いたのは事故現場でした。血の赤だけが浮かぶような鮮やかな色彩で、他はまるでモノクロ写真です。倒れているのはカナさんだった。ふと顔を上げると、遠くに凍りついたように動かないあなたの姿が見えました。その時、あなたと目が合うのです。すると今度は、あなたになっている。あなたの悲しみが、痛みが心に入り込んでくる……。
目を覚ますとき、私の目元はいつも涙で濡れているのです」
no.2399 ( 記入なし06/07/28 13:42 )
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