ゴール前直線。

夜７時半を境目に、前なら「ちょっと早く帰れた」、過ぎたら「遅い」の感覚。
「ただいま〜」と子供に顔を見せてから買い物に行きます。
バイクを自転車に乗り換えて、うちから５分のスーパー。
肉野菜豆腐やおやつをカゴに入れて
即レジに行って、あとは帰ってご飯を作るだけ。


レジ打ちのアルバイトさんにAR.４０男性が一人。
この時間帯に買い物に来るようになった初めから居られるので、４年近くは勤続でしょう。
初めはアトピーかな、お札やお金にかぶれていたのかもですが、手がぼろぼろでした。
痩せていて色白で、抵抗力無いだろうなあと思われるひ弱そうなイメージ。
あ、本当のところは分かりませんよ、あくまでぱっと見たイメージです。
手は治ったかと思ったらまたひどくなって、の繰り返しでしたが、１年位過ぎた頃からきれいになられました。
一生懸命やっていたら、抵抗力がついてきて良くなるんだなあと思って見ていました。
黙って気にしていただけで、何の応援にもなっていませんが。


時々風邪でマスクをして咳き込みながら、またある時は明らかに熱が有りそうな赤い顔で、
それでも毎日笑顔でレジうちをされています。
私はその人に注目していました。
だっていつも笑顔で「ありがとうございます」って心から？言ってくれて
ちょっとでもすいていたら、かごを台の場所まで運んでくれる。
この仕事をつまらないと思うことはいくらでもできるだろうし
時給８００円で募集しているから、長年で値上がりしていたとしてもそう高い時給でもないでしょう。
接客が得意ではなさそうですがものの扱いが丁寧で、笑顔で一生懸命で、
８時前に会社から帰宅して、更に今からご飯を作らないといけない私が、気持ちよく自宅に走って帰っていける。


ある時レジの順番待ちのとき、私の前に夫婦と子供が居ました。
そのご主人のほうが
「おお〜ひさしぶり、まだここで働いてたんや」とその男性に声を掛けました。
夫婦とも同級生だったみたいです。
「結婚してんの？」
「してないよ〜できないよ、こんな仕事では」
みたいなことを冗談ぽく笑いながら言ってました。
どんな仕事にも華は有る、あなたはきっとお客さんから好かれていると思うよ、私は心の中でそう思った。


その人がここ１ヶ月位来ていない。
直前の様子からしてかなり体を悪くしていた。
病気で寝込んでいるか、入院していると思います。
私はずっと気になっています。
でも他の従業員の人に聞いたらヘンだし、第一違った意味での好意を持っていると思われたらいけないし。
私は何も言わずに毎日心の中で心配していました。
今日、レジの人がチーフの女性だったので、喉から言葉が出かかった。でも言えなかった。
そしたらなんと、ものすごく小さな声だったけれど、私のうしろのお客さんが
「○○さん・・・どうなん・・」
と聞いた！！
「まだ・・・・です・・」
よく聞こえない！！
よく聞こえないけどその人の事だった。名前は名札があるから知っています。


私は感動しました。
心配していたのは私だけじゃない！！
みんな心配しているんだ！！
あと、レジの人の安否はお客であっても聞いていいんだ、元から知り合いだったのかもしれないけれど。


病気が治って帰って来られますように。
今度こそ、大丈夫ですか、戻って来られて嬉しいです、と言おう。
レジうちは誰にでもできそうで、実は大変な仕事だ。
そして人が触れ合う良い仕事だ、私はそう思います。