人生には必ず邪魔が入る。

【名もなき男の、ああくだらなき我が人生】

第三章　運命

第一話


小学3年生、時系列についてはバラバラになってしまうが、この年は私の後の人生を大きく変える出来事が起きた年だ。
そうなのだ、家に仔犬がきた。
茶色の雑種、今は雑種と呼ばないらしいが…どうでも良い。
柴犬が混ざってるんじゃないかと母親が言っていたな…
今思うと確かに。柴の毛並に少しボリュームをつけたフサフサの仔だ。コタツがあったからおそらく冬の出来事だろう。なぜ、家に犬がきたのか詳しいいきさつは知らないが、長男が誰かから貰ってきたらしい。
母親は口ぐせのように「動物はダメ」と言っていたのを覚えている。それだけに驚いた。

長男が連れてきた犬、次男が名前をつけた。両親がこの状況を作った。しかし最後までこの仔の生涯をまっとうさせたのは私だ。
自分の人生を犠牲にして。
強要された訳ではない。ただただ自身の心情として放っておけなかったのだ。
残酷になれない、自分勝手になれない、そんな人間の人生はくだらなく終わる。

身を持って感じる。今でも………



その時代に捧げるBGM
リトルダーリン（少年アシベED） 田村英里子
https://youtu.be/2e1xKQT8jXs