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ヒモと呼ばないで

9年ぶりに帰ってきました。誰か助けて。

 ■ 2004/01/30 (金) 給与明細/一時離脱


職場に着いて、大きなため息と共に出入管理のため受付のイスに座り、シフト表を再確認する。

最近は慣れてきたので、もう見ないことの方が多いんだが、今日は見た。
理由はない。
何となくだ。
しかし、見てよかった。
そこに俺の給与明細が紛れ込んでいる。
明日、振り込みか。
忘れてたよ。

先月も出たが、それは〆の関係で一日分だけだったので、これが実質的初任給だ。


…というわけで、勤め始めて一月が経ち、とうとう給料を得ました。
残念ながら「主夫」に戻れる見込みも少ないと言わざるを得ないので、引っ越して、そこから通うことを前提に次の職を探すまでは、ここで働くことになる可能性が高いと思われます。
そうなると「無職.com」というサイトの特性上、もはや私はここには相応しくないと判断しました。
毎日働いている、その日記をUPしている現在でもすでに、不愉快に思われている方も恐らくおられるでしょうから。

というわけで、次の職探しに入るまでここに日記をUPすることはお休みします。

途中、記事を削除したときに温かい応援を下さった皆さん、また、掲示板や、ご自分の日記の文中にわざわざスペースを割いて数々のアドバイスや応援を書いて下さった方々、そして、こんな私を「ヒモと呼ばないで」いてくれた全ての皆さん、本当にありがとうございました。

一応こちらで継続して書かせて頂いています。
こちらは「無職」とは特に無関係なのでそのまま続けても問題ないようなので。
よかったら遊びに来て下さい。
http://www.mypress.jp/v2_writers/shufu/

皆さんが、無職/有職にかかわらず、本当に心から満足できる毎日を送れますように。
微力ながらお祈りしています。

追伸;管理人さん、お世話になりました。
   また無職になった時には、よろしくお願いします。

B級主夫。



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B級主夫 すえっこさん、ありがとう。 (04/05/30 22:46)
すえっこ ああまだ懐かしむオラ (04/04/21 21:05)
俺も俺も お疲れ様です。 (04/02/15 15:44)
名無しの案山子 日記を初めからはいどくさせていただいてました 頑張ってください!私も後に続きたいです (04/02/03 03:39)
みどり 主夫さんの日記読んでいろんなことかんがえたよ。ありがとう。 (04/02/01 21:03)
私も主夫になりたい 真摯な文章、いつもありがとうございました。 (04/01/31 05:08)
無職日記スレ74 寂しくなります。どうか、お元気で。B級主夫さんがしたい生き方に、いつか辿りつけますよう、心からお祈りしています。 (04/01/30 21:10)
すえっこ が来ればなんて。。。 (04/01/30 19:03)
すえっこ ありがとう そして またいつかお会い出来る日 (04/01/30 19:03)
とむ あなたもまた、心から満足できる毎日を送れますように。 (04/01/30 02:23)
主夫になりたい男 再び主夫になられることを影ながら願っております。 (04/01/30 02:11)


 ■ 2004/01/29 (木) 休み明け


休み明け。

風呂から出てさっぱりしても、この日に思うことは毎回同じ。

行きたくない。

それだけ。

あと53分。

もう52分。


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 ■ 2004/01/29 (木) 休日/フツー


今日は休日。
午後から散策へ。

今日はあえて山には上らずに、それを遠目に見ながら街を歩いてみることにした。
理由はない。

途中、「ふるさと歴史館」という施設を見つけたので入ってみる。

規模が小さい割には外装にお金かけすぎという気はするが、結構面白い。
俺はこういった類の場所なら大抵のものは面白がるタチなので、普通の人にとっては「?」かもしれないが。

特に、「少し前」の、それもここら辺の「フツーの生活」についての展示が興味を引いた。

家の近所であちこちに見かけることの出来る「屋敷」の表札の名が、ここ一帯に力を及ぼした名主であることが改めてわかった。

すごいな…江戸時代からの名主だったのか。

茅葺きの家の前には防風林があって、雑木林を、長い視点で丁寧に手入れをする暮らし。
薪や枯れ枝を燃料にするのはもちろん、落ち葉を肥料やサツマイモの苗床にしたり、炭焼きをしたり…。

よくこんな生活を評して「時間がゆっくり流れる」なんて言い方をしたりするが、実際は現代から見れば不便極まりなく、火を起こすところからして「ゆっくり」どころか汗にまみれるような生活だったことだろう。

でも、それが不幸だとは到底感じられない。

これでいい…っていうか、これしかない、からだろうか。
他と比較しようのない、してもしょうがない生活。

今から見れば、変化が乏しく退屈とも言えるだろうが、逆に今では難しい、地に足の着いた強さもあったはずだ。

長い視点を持ち、丁寧に生きる、か。
ほんの50年前までの「フツー」の生活。

俺の生活とはまるで正反対だ。

その日の無事だけを考えて、ルーティーンワークを繰り返すだけ。

これだけ見れば「変化が乏しく退屈」なことろは同じだ。
俺もよく「これでいい」「これしかない」って言うし。

でも50年後の人が今の俺の生活を見て、それに「地に足の着いた強さ」などどうして感じられようか。

まるで、永遠の挟殺プレーで、塁間に夾まれる間抜けな打者走者だ。

そして、挟まれて、あっちに走り、こっちでタッチをかわしているうちに、俺は最終的に目指していたはずの「ホームベース」のことなんか忘れてしまった。

ただ「アウト」になることだけを恐れる生活。

…でも、そもそもどうして「夾まれて」いるんだろう。
もう随分前のことのような気がするが、フルスイングして球を芯で捉え、野手の間を抜いた所まではよく覚えているぞ。

一塁を蹴って、二塁へ…。
その時、欲張ってこうなったような気がする。
行っちゃダメだ、と心のどこかで分かっていたのに。
何が何でも自分の打球を「長打」にしたかったんだろうか。
よくわからんが。

もうここはさっさとアウトになって、次の打席でもう一回スカッとかっ飛ばすことを考えるか。

でも、俺に次の打席なんてあるのか。
もしあっても、また打てるのか。

そうだ…。
そんな心配から無縁でいられるのが、「地に足の着いた強さ」なんだ。

俺にはまだそんなものはない。

…今いきなり思い出した。
こんな句を聞いたことがある。

「かかるとき 
 さこそ命の惜しからめ
 かねてなき身と思い知らずば」

地に足が着くどころか、天地と一つってヤツか…。
確か、太田道灌だったか。
さすがサムライ。

俺も欲しい。
そんな強さ。

昔の百姓に憧れるも、それにも到底及ばないような男には無理とは分かっていても。

俺も「地に足を着けた強さ」が欲しい。



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 ■ 2004/01/28 (水) 休日前夜


帰ってきた。

あるテナントで倒れたが、救急車の中に入った瞬間に意識を回復し、結局歩いて帰った…まではよかったが、それから10分もしないうちに警備室に再び戻ってきて「私はどうやってここに来て、今どこにいるのでしょう」とまるでコントのようなセリフを吐いたお客様が、彼だって、以前はまさか自分がこんな事を言い出すことになるなんて思いも寄らなかっただろうに…いずれ俺がこうならないと果たして断言できるだろうか…なんてことを考えさせてくれたこと以外には、何もない一日。

つまり、最高の仕事ができた日、ということになる。

上手くやり過ごせた日。
喉ごしの良かった日。

何も問題が起きなくてよかった。
本当によかった。

でも、全然嬉しくない。

どうしたら「嬉しい」という感情を取り戻せるのか。
一番やりたい仕事を失ったばかりの状態で。

どうやってここに来てたかは、分かってる。
今どこにいるのかもだ。

でも、これから何処に行ったらいいのかが全然見えてこない。

行きたいところへ行けばいいだろうって。
だから、そこには今は行けないんだよ。
その他で行きたい所なんてないよ。

そのうち俺も、どうやってここに来たのかも、今どこにいるのかも分からなくなって、気を失って倒れたりするのかな。

明日は休み。
とは言っても、特に予定はない。

とにかく今は祈るだけ。

「明日の休みが、長く楽しく心地よく快適で有意義な一日となりますように」と。

今はそれしか思い浮かばない。


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 ■ 2004/01/27 (火) 休日前朝


風呂から出た。

あと1時間08分。
どうやら風呂は朝に入る方が、俺には時間的に余裕が生まれやすいみたいだ。

今日のシフトは、キツイ方のそれだ。
こんな時に限って、担当の「偉い人」は細かくて苦手な方だったりするんだ。
行ってみなきゃ分からないけど。
でも今日行けば明日は休みだ。
何とかやり過ごそう。

それにしても、そろそろ引っ越し先から通うことを前提にした新しい仕事探さないと。

じゃなかった、専業に戻る戦略をもう一度練らないと、だった。

ひょっとして、もう諦めちゃったのかな、俺。
まさか。

あと1時間01分。

どうぞ、今日も一日何事もありませんように


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 お疲れ様です。 (04/01/27 23:07)


 ■ 2004/01/27 (火) 異常なし


うそ泣き三昧で、自分の家の電話番号を何度も書き直すような、イケシャーシャーとした58歳の女の万引きが、自分が58になったとき、果たしてこうならないと断言できるだろうか…なんてことを考えさせてくれたこと以外には、何もない一日。

つまり、最高の仕事ができた日、ということになる。

斬られずに済んだ一日。
サバイバルできた日。

何も問題が起きなくてよかった。
本当によかった。

でも、全然嬉しくない。

今は前者が後者を上手く押さえ込んでいる状態。
果たして,このまま押さえ込み一本、と相成るのか。

分からない。

とにかく今は祈るだけ。

「明日も何事もありませんように」と。


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 ■ 2004/01/26 (月) パンツ


妻の休日。

風呂から出て、パンツを探すも見当たらない。
前回は妻が洗濯してくれたはず。

聞いてみようと、腰にバスタオルを巻いたまま、彼女の部屋に行くも、すでにもぬけの殻。

…何処行ったんだ。

段々怒りが湧いてきて、携帯にTEL。

「もしもし、起きた。今お母さんの所。寝てたから、仕事で疲れてると思ったから、そのままにしてあげたよ。あたしって偉い?…えっ、パンツ?あー、ホント?なかった?。じゃ、干してあるの穿いて。ガシャ。」

…。

仕方なく、寝間着のスウェットパンツとそこらのシャツを引っ掛けて、外の物干しから、恐らく2日間は干しっぱなしのボクサーパンツを3枚まとめて引ったくる。

もう体は冷え切ってるよ。

こんな朝ってありか。

あと37分。


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俺も俺も ノーパン健康法というのが昔はやりましたが。どこへいったのやら。 (04/01/29 00:35)
通行人A ノーパンじゃ風邪引くぜ (04/01/26 20:32)
ななし たまにはノーパンも良いですョ (04/01/26 18:56)


 ■ 2004/01/26 (月) マウンド


職場に着いてすぐ、いつものようにロッカーを開けると、そこに「厚生年金基金加入員証」「雇用保険被保険者証」が目の高さに磁石で貼り付けてあった。

本当なら16日に届いていたはずらしいが、手違いがあって今日になって俺の手元に届くことに。
すぐに、受領書にハンコを押して、社内メールで返信する。

これで、書類関係は一通り完了したようだ。

仕事が終わった後、またしても寒空の中、男3人で、会社/仕事の話をする。
まだ俺にはよく分からない話もあるが、特に嫌だということもないのが自分でも不思議だ。
さすがに寒いのだけは勘弁して欲しいが。

30分も話しただろうか。
冷えた体で家路を急ぐ途中、不意に、前にここに書いた「ショーバン」の事を再度思い出す。

あの時も、ちゃんとした「チーム」に入って、揃いの「ユニフォーム」をプロ野球選手のように着て「公式試合」を闘う…ことには確かに嬉しさや楽しさがあったように思う。
ドキドキしたり、恐かったり、悔しかったりもしたが、いいピッチングをしたり、その試合に「勝った」ときは最高に嬉しかったのは確かだ。

…でも「ショーバン」を捕る楽しさは失った。
とうとう最後まで「基本から外れる」ことを恐れたまま。

それに、そうだ。
「ドキドキ」や勝利の嬉しさは、ピッチャーとして、投げることそのものや、そこでの勝負を楽しめるようになってからのことだ。

…このままだと俺は、「専業主夫」という今の自分にとって最適な日常を確実に失ってしまうだろう。
これからますます、「チームワーク」重視で、取引先の会社のためはもとより、先輩/同僚の「迷惑にならないように」働き、その最上級の結果が「それだけ」の世界に入り込んでいくんだろうから。

「ショーバン」どころか、そのうち凡フライも捕れなくなるだろう。

…あの時も、俺は「いいショートストップ」になりたかったんだ。
他のポジションなど、その時は考えもしなかった。
でも、それが上手くいかなくて、ピッチャーになった。

…よく考えてみると、あの時も「棚ぼた」じゃなかったのかも。
心のどこかで、ピッチャーになりたかったんだ。
どこかで、というより「心の底で」と言ったほうが正確かも。

今の俺は「いい専業主夫」になりたい。
働きだした後も変わらない。
でも、それが叶わない今、次ぎの「マウンド」が思い浮かばない。

あの時もそうだったんだろうか。
「投げてみろ」と言われて初めて、投げる楽しさに気づいたんだろうか。

わからない。
心の底をさらってみても、今はわからないよ。

主夫でいさせろ。
それ以上を望むなら、次の「マウンド」を用意しろ。

その前にそれは何なんだ。
俺にはわからない。

まさか「お義父さんみたいになること」なんて言うんじゃないだろうか。

そんなの俺のマウンドじゃない。
投げてみて、って言われてもお断りだ。



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 ■ 2004/01/25 (日) 鎧


休日明け。

あと7分か。
今日はいつもより早く部屋着を着替えたのに、もうこんな時間か。

しかし、実際に早く着替えてみると、昨日一度脱いだ鎧を、もう一度最初から全身に身につけたような気分。

千円台のフリース、アメ横の軍パンは、散策に行くときと全く同じなのに、その方向が逆になっただけで、こうも重たく感じるものか。

それにしても、仕事に出始めてもうすぐ1ヶ月になるのか。
いや、12月22日からだから、もう1ヶ月過ぎたのか。

本当に前の生活に戻れるのはいつなんだろう。
それとも、もう本当に戻れないのだろうか。
だとするなら、その時と同じ充実感を得られる毎日も、戻らないってことか。

ああ、あと5分しかないよ。

それにしても、このフリースとパンツ、昨日の散策と全く同じ格好なのに、何でこうも重たいんだろうか。

それに、アウターと、デイパックを加えて、出来上がりか。

鎧の。

やっぱり俺には重すぎるよ。


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 ■ 2004/01/25 (日) 全生園2


今日は休日。

午後から全生園へ。
前回と同じルートで歩き、南門から入る。

前回見た復元された施設をもう一度よく見る。
名前は「山吹舎」だった。
木造の男子独身寮だったそうだ。

作家の北条民雄が闘病したのは「秩父舎」。
ここにある木はやはりカエデで間違いはなかった。

そのまま宗教地区→旧学校跡・図書館跡→神社通りを経て、中央通り傍の風呂屋を横目に、先を急ぐ。

前回はすでに閉館していた、ハンセン病資料館に到着。
それでも閉館まであと30分しかないでので、急いで2階に上がる。

実物大で再現された闘病舎が展示されていて、そこで火鉢を囲む者、布団に寝る者、将棋を差すもの、机に向かう者…のマネキン(?)がある。

もちろん、顔や体のあちこちには、痛々しい眼帯や包帯が巻かれていたりするんだが。

心の準備が出来ていないまま見たので、そのリアルな再現に思わず絶句する。
…何も言えない。

順路に従い、先に進むと「北条民雄」の文字。
彼の顔を初めて見る。
果たして、彼の姿は想像と少し違っていた。
大きな写真の彼は、眼鏡をかけて、木訥そうで…それでいてどこか気が強そうにも見える。

そして、何より妙味深かったのは「日記」だ。

そこには「ラヂオは愚劣だ」というようなことが書いてあった。
「うるさくて本も読めない」的なことも。

普通の日常を生きていたんだ。
もし彼が現代を生きていたら、何を「うるさい」「愚劣」だと思うだろうか。

そして、ここでもう一点興味を引くモノがあった。

それは「着物」。

「どこに行くにも『うどん縞』の単衣」という説明文もあった(と思う。うる覚え。失礼)が、俺にはシンプルでデザインとしては悪くないとも思えた。

ガラスケースの中のモノなどは、袷のものもあり、濃い紺色のそれはカッコイイとすら思えた。

…北条民雄さんなら、現実の不自由さを何一つ分かりもしないくせに、見かけだけで恐らくは当時としても「粗末な」着物のことを、「カッコイイ」だとか抜かす輩をこそ「愚劣」だと言うだろうか。

愚劣だ!うるさい!何も知らないくせに!…と言われるかな。

…その通りだな。
非礼だよ。
ごめんなさい。

閉館時間に押し出されるように、資料館を出る。

さぁ、ここからが、今回の主目的だ。

納骨堂で、前回の失礼を詫びて、もう一度亡くなられた方々に、きちんと手を合わせるんだ。

その前に、携帯の電源を切る。
絶対に切る。
切った。
間違いなく切った。

…よし。
そして、安心して前に。

すると、視界の隅に東屋の若いカップルが。
…ネチャネチャ何かしてる。

…。
納骨堂だぞ、ここは。
いくら何でも場所をわきまえろよ。

…またしても静かな気持ちを維持できず。

音の次は景色か。

北条さん、愚劣なのは彼らですよね。
俺はそう思います。

…また来なくちゃ、全生園。



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