ヒモと呼ばないで

また変更。
ほんの15分前まで、終了時間を過ぎてもグダグダ説明したのはなんだったんだ。

「さっきのあれ、やっぱ無しで」

理由は、それに必要なものを自分が買い忘れてたから。

・・・。

駐車場に許可証のない車が入ってきたから、関係者かどうかの確認をして、手続きを促した。
所属と名前を聞いていいものか定かでなかったから、上記の本社教育係に確認。
すると

「あーーー、それね。えーーーとね・・・」

・・・その隙に車出ていく。

車のナンバーと車種も同様に報告対象かどうかわからなかったが、とりあえず目視して、暗記。
同時に大型車が来て、更に駐車場に入る車の注意喚起などがあって、メモが出来なかったので、声でその教育係にメモするように頼む。

すると、

「えーーーーーーとね、それは報告しなくていいんじゃないのかな、多分」

といいながら、頼んだその車の情報を一切メモらない。

館内に戻り、お客様に報告すると

「で、組は？名前は？車種は？ナンバーは？」

速射砲の質問。

謝ったのは俺。
運の悪いことに、後でロッカー室でも会って再度謝ったが、その時の目はさっきより冷たかった。

とりあえず聞いとけばいい、っていうのはもう許されない。
「個人情報」と「お客様」と「権利」と「ホスピタリティ」が掛け合わさった空気が、「警備ごとき」」にそれを許さない。

でも、「クライアント様の意向」がそうなら、これは逆に絶対聞かなければならないのは言うまでもない。

で、それも聞き方に決まりがある。

「恐れ入ります」
「お忙しいところ申し訳ありません」

から入り、

あくまでも「許可が必要なことをまだ知らない」ということを前提に「お教えする」、という形をとること。

知らないわけのない人に。

・・・。

そういうデリケートな作業だからこそ、その教育係に確認してるんだけど。
それに答えなかったり、反対のことするんじゃ、困るのは現場に残るこっちなんだけどな。

・・・。

電話だ。
嫌な予感。

・・・。

また変更だ。
それも3点。
朝の忙しい時間の作業。

実際に試せないし、現物も見られないんだから、あれだけ電話じゃなくてメールにしてくれって言ってんのに。
説明下手なんだからさ。
それに外で見なきゃならない状況だったり、そもそも出られなかったりしたら、確実に伝わる可能性も低くなるだろうに。

文章なら何度も見直せるし、回数、時間、場所、作業内容等、肝心な情報も漏れにくくなるだろうに。

・・・。

今までにない「揺れ方」する、このボート。
もしかして、俺を振り落とそうとしてるのか。
まだ乗ったばかりだっていうのに。

でも、もう次はない。
何とか慣れないと。

・・・。

エチケット袋、もっと買っとこう。