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爺放談 |
■ 2014/06/21 (土) 熱風よさらば |
「風立ちぬ」を見た。
この作品は色々と世間を騒がせたが実際見てみるとなぜこの様に騒がれたかまったく分からない。 たばこのシーンでもそれほどの違和感はない、右翼的思想もこの作品からは全く伺えなかった。 ま〜良しにつけ悪しにつけ宮崎アニメは話題性が高いという事なのだろう。 で・・・見た感想だが、面白いか面白くないかと問われれば普通に見れる映画としか印象はなかった。 これは恋愛映画なのかただの伝記的映画なのかそれとも宮崎アニメ特有の何かわけのわからない警鐘的映画なのか回顧的映画なのか・・・ 要するに何かテーマがぼやけた映画と言う印象であった。 内容もたいして目を見張る所も無く、作品自体が全体的に分かり易い想像通りの流れに沿った内容だけに淡々と過ぎていくという印象でしかなかった。 もう幾度と「引退」を叫んでいるだけに、もう過去の様な情熱や作品に対しての思い入れも限界が来ているのだろう。 私自身としては宮崎アニメにたいして過去からそれほどの思い入れはないし作品そのものも世間を騒がせるほどの作品はこれといって思い浮かばない。 敢えて上げるなら「カリオストロの城」「ナウシカ」「ラピュタ」ぐらいだろうか・・ しかし「カリオストロ」は純粋に宮崎アニメではない。 また、「ナウシカ」と「ラピュタ」は内容よりもキャラクターデザインが優れている点で上げているが内容としては面白いが世間を騒がせるほどではないと思っている。 私は以前「スタジオジブリ」と仕事の関係でお付き合いがあった。 その時に聞いた話だが「ナウシカ」の製作に携わったデザイナー、当時彼はまだ駆け出しのデザイナーだったがその彼の描くキャラクターが非凡で、宮崎は当然その彼の才能に惚れ込み「ナウシカ」の制作に彼のデザインを多く取り込んだ。 月刊アニメージュに連載から好評を博し映画化となったこの作品は内容よりもむしろキャラクターデザインが目を見張るものがあり宮崎よりも彼の功績の方が大きい。 その後彼は数々の成功を収めたらしい。 また「ナウシカ」の音楽を担当した「久石譲」の功績も大きい。 彼もこの作品から次々とその天才性を発揮し成功を収めている。 確かに宮崎駿の天才性を見抜く力は認めざるを得ないが彼自身のアーチスト性は凡庸であり、ここまで成功を収めているのはこの二人の天才によるところが大きい。 事実この2作品以降の作品は全て内容は凡庸であり、「回顧主義」「自然破壊」ばかりの内容に終始している。 特に酷かったのは「もののけ姫」「千と千尋」「ハウルの動く城」に至っては「ナウシカ」のカバー作品と思えるほどの内容で、この辺りから宮崎自身の限界が伺える。 スタジオジブリは2作目の「ラピュタ」で倒産の危機を経験した。 「ナウシカ」での成功で気を良くした宮崎の驕りがそうさせたのだ。 それまでのアニメ映画はそのほとんどがTVアニメからの映画化が基本的スタンスだったのに対し宮崎アニメは商業誌からの映画化だ。 「ナウシカ」はまだアニメージュと言う商業誌からの映画化だっただけにある一定のファン層は居たのに対し「ラピュタ」は完全にスタジオジブリ独自の作品で、原作が無い所からのスタートで、宮崎自身の本当のオリジナル作品であった。 だから当然宮崎自身はこの作品に相当な思い入れがあり、彼の本当の実力を世に見せつける試金石となる作品だった。 前作が大成功を収めただけに宮崎自身は相当の観客動員数を見込んだだろう。 しかし結果はものの見事に大失敗を呈し、ジブリは大赤字を出してしまった。 何の予備知識も無く、何の前提も無い完全オリジナルアニメ映画の制作は当時のジブリの親会社でもある「徳間書店」はその制作に難色は示していた。 しかし宮崎の執拗でかつ強硬な姿勢は強引にも「ラピュタ」制作を踏み切らせた、しかしこの結果を受け、宮崎自身のこの姿勢はジブリの存続やその他の全てに影響を及ぼし、彼の独善が生んだ被害は彼にとって相当過酷な物だっただろう。 しかし彼ほど幸運の持ち主はいない。 彼が所属していた「徳間書店」「スタッフ」はそんな彼を見捨てなかった。 普通のサラリーマンならこれほどの損害を出したなら即「左遷」もしくは「依願退職」を迫られるだろう。 「ラピュタ」での尻拭いからジブリの経営まで全てを徳間書店はバックアップし、彼を見捨てなかったのだ。 本来、スタジオジブリは徳間書店の100%出資会社でそこでは宮崎はただ単に社員の一人でしかない。 「ナウシカ」の成功で傲慢になった宮崎の姿勢には徳間側と幾度となく軋轢を生じていた。 しかし宮崎は徳間側に一歩も譲らず「ラピュタ」制作時には徳間側の影響を排除するためにもジブリ独立を訴え強引にもその野望を貫いた結果の事だ。 ただ単に一人のアニメーターにすぎない宮崎をここまで見捨てなかった徳間書店の懐の深さには日本人としての古き良き社風を見て取れる。 そして背水の陣を引いて制作された「となりのトトロ」 これはもうジブリとしては失敗の許されない事業だけにこれまでの単品上映ではなく同時上映に「火垂るの墓」を用意した。 これまで宮崎と高畑はタッグを組んで制作をしていたがここからそれぞれがジブリ作品を単独制作するシステムに移行する。 この映画がヒットするよう様々な仕掛けを徳間書店は仕掛けた。 映画上映の前にTV放映で「ラピュタ」を流した。 これが予想以上の反響を生み、スタジオジブリ作品の質の高さや宣伝として大きく広まり、ジブリオリジナルの作品に大衆は新たに知名度を上げ、それが追い風となって「となりのトトロ」はまた大成功を収める。 さらに同時上映された「火垂るの墓」はメインでもないサブ上映作品にもかかわらず反響は凄まじく高畑の名声までも上げた結果となった。 この成果は宮崎だけがクローズアップされているが実は徳間書店をはじめとする多くのスタッフたちの成果の方が実は大きい。 宮崎は「ラピュタ」の失敗から本当は知っているように思う。 彼の作品が支持されている本当の理由を。 彼が実は凡庸な才能の持ち主だという事を・・・ だからもう既に幾度も「引退」を口にしているのだろう・・・ 「もののけ姫」は彼の最後の作品として制作されたものだと思う。 彼の創作性はここが限界だったであろう。 と言うよりむしろ実は「ナウシカ」で終わっていたのだと思う。 なぜなら「もののけ姫」のストーリーは「ナウシカ」とほとんど変わっていない。 また彼は「もののけ姫」制作を機にスタジオジブリを退社している。 この事からも彼の心情は察する事が出来る。 当時私は「もののけ姫」制作の時一番ジブリに通っていた。 当時のスタッフは口にはしないがどこかわかっていたように思う。 宮崎アニメは「ラピュタ」で終わっていたのだ。 その後の彼は「神輿」でしかなかったのだ。 それ以降は徳間書店の業績悪化と博報堂のために働いていたのかもしれない・・・ ある種の「恩返し」なのだろうか。 たぶん彼は、一介のアニメーターに過ぎなかったことを、ただのアニメ好きの男だったという事を知りながらもここまで続けてきた・・・ 大衆パワーという目に見えない圧倒的パワーに振り回され、その恐怖と現実の狭間に生き、身の丈を超えた才能を押し付けられた男の最後の作品・・・ 本当に「お疲れ様でした・・・・・」 |
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コメント
はいむるぶし 記入なしさん 小説は読んでおりませんので分かりません。しかし多分脚本が宮崎なので大分変っているのでは・・ (14/06/23 17:44)
はいむるぶし 腐敗官僚さん おひさです!中島飛行機でしたっけ!まっ どんな開発も大抵は軍需が源流ですがね! (14/06/23 17:42) はいむるぶし まりあっち お〜早速見ましたか!そうですか!高評価ですね!これは「トトロ」と同じ内容です!そこに現存した人をモチーフにしたに過ぎない映画だと思いますね!「愛」は私とまりあっちにもう既にあるじゃないですか〜〜!^^ (14/06/23 17:39) 記入なし 堀辰雄の 小説『風立ちぬ』は読みましたが アニメ観てません 筋書き同じですか すじがきおなじなんでs (14/06/23 15:25) まりあ ウチの主人は涙流してましたよ〜★★★★★らしいです^^ イタリアの血が流れていることと、登場するオオバコの動き、私も見逃していたユキノシタの美しさにも共鳴していたみたいです^^ (14/06/23 11:45) まりあ 昨夜、早速見ましたよ〜(*^_^*)私のレビューは★★★★☆です^^ この映画は「愛」を表現されていますね〜。男尊女卑の時代ですが、平成の我が国では崩壊した、殿方の所作、女性を立てる心遣い、障子の閉め方、座布団の正しい座り方など。。古き良き国風文化からの我が国、日本の良さ、そして、人の限られた時間の生き方の大切さについて感銘を受けました♪ 見る方の育ち・教養・所得の差で見解が変わるかもしれませんね;;;(^_^;;) (14/06/23 11:45) 腐敗官僚 『風立ちぬ』の”紅の豚”バージョンのパロディ作品とか作ったらウケるんだけどねぇ。 ついでに「非力なエンジンの代わりにガスタービンエンジンを開発しますたぁ!!」とかやらかしたら、もっと面白いものになったんだろうけどねぇ。どうせ、フィクションだしw でも、この当時の航空機産業が現代の日本の自動車産業の源流となっているんだけどねw (14/06/22 20:54) まりあ 『風立ちぬ』はまだ見ていないので今度見てみますね〜(^O^)/「月月火水木金金 今日も、股下1センチ!」の時代やさかい、保守のウチはあきまへんわぁ〜^^; (14/06/22 10:25) |
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