爺放談

中国と言う国と仕事をする・・・・・・

私と今も懇意にさせていただいているある食品メーカーの社長も中国が伸び盛りの時に上海にある経済特区に設備投資し工場を設立しました。

私はその時に社長に憂慮を促したのですがあまり聞き取ってはくれず、結局は上海工場を設立するに至ったのです。

その上海工場を直接切り盛りしているのは中国人で、社長は一月に一回中国に飛びその様子を伺っております。

その工場での人員は設立前に上海工場の今の責任者が集めたもので、作業内容や就業規則もその責任者が全てを担当したと聞いております。

その理由には、やはり中国人のことは中国人に任せないと上手くやれないと、責任者が言うので社長はそれを受諾したらしいのです。

その責任者は、社長と日本での古くからの付き合いで上海に工場を進出できたのもその責任者のおかげだったと言います。

ですから社長もその責任者には全幅の信頼をしており、結果としてその責任者の言うことにはほとんどにおいて反対せず彼の言うがままにしてきました。

この社長も何故中国に進出したかと言うと、基本的には当時の企業と同じで人件費が第一の要因です。

社長の扱っている食品は主に粉物で、その他には各種調味料を扱っており、日本では今も相当収益を上げている数少ない企業の一つです。

しかし、この中国進出はこの社長にとって目の上のたんこぶとなりつつあります。

多くの要因が挙げられますが、その一つはやはり中国産のイメージダウンが大きな原因の一つです。

それともう一つに中国人の仕事に対する価値観や人間関係、それと企業に対するその従業員の考え方がもう一つの要因です。

まず、中国製品に対するイメージダウンは社長の手の届く範囲外の出来事なのでどうしようもないことですが、しかしそれ以外の要因は直接社長の工場と関係しますので放って置く訳には行きません、早急になんとかせねばならない事態にまで行き着きます。

良くその社長から中国でのことを私は聞かされますので、その聞いた事柄の一部を紹介したいと思います。

社長の上海工場の従業員「中国人」は一月の給料が１万２千円と他の上海地区で働いている人より多少多めだそうです。「もちろん生産ラインの人達・・・」

この上海経済特区で働くことは中国人にとっては一つのステータスで、しかも誰でもこの地区には入ってはこれないようです。

そんな中、基本的には仕事は真面目に取り組むそうですが、しかし、何か失敗した時、その原因を追究するにも中国の方は絶対自分の非を認めないそうです、しかしそれならまだしも失敗した人は自分ではなく他の人に責任をなすりつけようとするそうです。

それでも明らかな失敗でそれを諌めると直ぐに職場放棄をし次の日にはそれまで働いた分「給料」を取りに来て、何も言わず辞めていくそうです。

工場の作業員が辞めた場合、その補充の為作業員の友人を紹介してもらおうとしても絶対受け入れないようです。

その理由は、職場が良ければ良いほど友人には教えず独り占めにしたいようです、なぜなら友人を同じ職場に入れてしまうと比較され、その比較が自分より上回ることが許せないらしいのです。

したがって、中国人が紹介してくる人物は明らかに自分より劣っているものを紹介してくるのです。

初めの契約時の仕事内容は的確にこなそうとしますがそれ以上は全く手を付けません、例えば時間外労働、掃除、新人に対しての仕事の手順を教える、それ以外の全ての労働・・・・

この中でも特にゴミに対する感覚は目が丸くなるほど酷い物らしいのです。

ゴミはゴミ箱へ・・・・これが全く通じないらしく、ほとんどポイ捨て！これには社長も相当苦労をしたそうです。

しかしそんな中でも一番難しいのは従業員がその会社に対する意識が全く日本人と違う所だと言います。

日本ではどんな従業員でも多少は自分の所の製品に対してある種の愛着を持っていますが、ここ中国ではそんなことは本当にどうでも良くて、全く愛着心のかけらも無く、そんなものですから愛社精神などはもってのほからしいのです。

しかし、言われた仕事はこなすのだからそれで良いではないか？とお思いでしょうが、この愛着心が相当決め手となる部門もあるのです。

それは、生産ライン最終段階の検査や品質管理の部門に出てくるのです。

どんなメーカーもこの部門は思いも着かない不良品が出てきたりもするのです。

その思いもかけない不良に気付くも気付かないも一重にその従業員の製品に対する心構えが重要となる事もあるのです。

この辺りが日本人は非常に優秀で、ですから日本製品の品質は世界に認められている所以でもあるのです。

日本企業で働いているからそうではないか？と思う方もいるかもしれませんがそんな事は無いようです、中国人の企業に対する従業員の考え方は基本的にはお金を取る手段でそれ以上の物になることは無いようですので、それは日本企業だろうが中国企業だろうが関係は無いようです。

社長は言います、中国人に接すれば接するほど個人主義で、自分の為ならどんな親しい友人でも掌を返す、この文化の国と付き合うには日本人にはきつ過ぎる・・・・

社長が毎月上海へ行くのは訳があるそうです。

常に目を光らせていないと直ぐ悪さをするそうです。

今はまだそれほど酷いことはないそうですが社長が一番恐れているのはその製品に関しての資料が他の食品メーカーへ情報が漏れることだといいます。

社長の会社の製品は特殊な製法を駆使しており、それが他社が真似できないため今も健全な経営を維持できています。

現在も上海経済特区に社長の工場は存続しており、日々稼動はしておりますが社長は撤退をしたいと言っており、また、周りの企業は次々と撤退しているといいます。

今になって社長も当時、時代の潮流に乗って中国に進出したことを悔やんでいます。

しかし社長の会社はそうは簡単に撤退できそうもありません。

それをするにはあまりにも上海の工場に設備投資をしすぎたのです。

この様子はその昔、北朝鮮を賛美して夢の楽園と信じ日本から離れていった人達を思い浮かばれます。

その当時も、北朝鮮を多くのメディアが賛美しました、この中国も当時同じように賛美していたように思います。

結局は取捨選択するのは個人ですがその報道に乗せられる人も多く、この社長のように夢の楽園から下手をすると根こそぎ全てを無くす結果を招く恐れもあるのです。

その責任は選択した本人は間違いなく背負うのですが、その報道をしたマスメディアにはなんの責任もかぶりません。

前回の日記にも通じるのですがこれからの日本は、いや、日本人はこれから来る激動の時代にも生きて行くにはそれぞれが確固とした信念を持ち、メディアなどから垂れ流される報道にもぶれず、何が真実かを見る目を養わなければ足元をすくわれるようになる事が多くなりそうです。




しかしどの様な出来事も、それは経済においても、ガソリンが異常に高値を示したとしても、使い古された言葉ですが・・・・・・


「明けない夜は無いのです・・・・・・」