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爺放談


 ■ 2008/11/28 (金) 波乱万丈39


「テレビってつまんないね・・・・・」


彼女のこの一言が皮切りでした。


私はもう、この状況を維持する事に限界を感じていました。

しかし、そうは言っても、今の私の状況ではこの部屋を出て自分だけの生活が出来るほどの資金も余裕もまだありませんでしたが、彼女の出方や話如何でどうなるか分りません。

私は今のこの話し合いがどの様な展開になるか?そして私自身のその後の展開を、今日決定付ける様な展開にならないよう注意深く話をしていかねばならないと、最低な打算の上で話を進行させねば・・・・・それだけを考えていました。


「そうやな〜、つまらんな〜」

「今日は仕事・・・忙しかったの?」

「いや、そうでもないけど、今日!上司から初めて漫画家へ配達が有って、それをしてきてん!」

「ほんと!良かったじゃない!それでどうだったの?」

「うん!すごい収穫があったんよ!ひょっとしたらアシスタントの仕事を紹介してくれるかも知れへんねん!」

「スゴイ!良かったじゃん^^」

「うん!まだ分からへんけどな!」

「そんなことないよ!あんたは大丈夫よ!絶対紹介してくれるよ!」

「それやったらええけどな〜」

「そうよ!大丈夫よ!」


しばらくは・・・・・そんな日常の話題ばかりをして時間も過ぎていくのですが。

それから少しして、彼女の方から・・・・・・


「ね〜○○?」

「うん?」

「わたしたちっておかしいよね?」

「なにが?」

「もう何度もこんな話しているけど、いつも○○はどこかはぐらかして何の結論も出せていないよね?」

「そんなことないやん!何の結論を出すのんよ?」

「もう分ってるでしょ?」

「なにがよ?」

「だって、このまんまじゃ○○もここに居辛いでしょ?」

「そんなことないで!別に何にも無いやん!」

「もういいよ!」

「なんやねん!何が言いたいねん!」

「もういいんだってば!」

「なんやねん!言うてくれや!わからへんやん!」


もう、この期に及んで苦しい言葉しか見つけることの出来ない私は・・・・・

さすがにもう、この天国のような生活にピリオドを打たねばならない、また以前のような地獄の生活に戻らねばならない、せっかく、ようやく開けそうな今の状況もご破算にせねばならない、このことに心臓が張り裂けそうなのを必死に悟られないよう精一杯のやせ我慢と・・・

それでもなんとか何時もの様にはぐらかせれば・・・・・それだけを考えていました。


「○○は、わたしのこと好きじゃないんでしょ?」

「えっ?」

「そうでしょ?わたしのこと・・・好きじゃないでしょ?」

「そんなことないよ!」

「うそ!私には分る!そんなに好きじゃないって事!」

「そんなことないって・・・・・」

「じゃ!なぜ!何にもしないの?手も握らないじゃない!もう一緒に暮らして大分なるわよ!」

「そんな事できる訳あらへんやろ?俺はいそうろうの身やで?」

「そんな事どうでも良いじゃん!」

「どうでも良いって事無いやろ!俺の身になってみ?無理やで!」

「あんたの身になれって!そればっかり!そんなの分んないわよ!」

「でも、ちょっとは分ってくれや!たのむわ・・・・・」


全ては私の保身の為の偽善な嘘ばかりでした・・・・・

それでも、いつも同じ言い訳しか言えませんが恋愛ゲームの強者の強みなのでしょうか?

無理やりの強引な説得も、今の彼女は、それが嘘だろうとなんだろうと聞く以外に術は無かったのです。

しかし、何時もはそうであったのでしたが今日は違いました・・・・・・


「ね〜?」

「うん?」

「やっぱり無理だったのよ・・・・」

「なにが?・・・・・・・・・・・・(やばい!)」

「こんな暮らしは・・・・」

「なんでよ?・・・・・・・・・・・(あかん!本当にまずいぞ)」

「○○!やっぱり此処に連れて来たわたしも悪かったのよ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・(なんとかせな!このまんまやとまたホームレスやで!)」

「それでね?わたしずっと考えてた事があるのよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・(うん?なんや?)」

「あんたは今は此処を出て行っても、また、前のようにホームレスになるしかなくなるもんね!だから、あんたももう仕事も有るんだしお金が溜まったら此処を出て行って欲しいの・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・(えっ!そうなんか!今直ぐでなくてええんか!それまで待ってくれんのか!)」

「ごめんね・・・・・私の勝手でこんな事になって・・・・私のわがままで○○にいっぱい負担をかけたね、このところは本当に一緒にいて居辛かったでしょう?・・・・本当にごめんね・・・・・」

「なに言うてんねん!ほんまに○○さんの事嫌いや無いって!」

「嫌いじゃない・・・か・・・」

「いや・・・ごめん・・・そんなつもりで言うたんちゃうで」

「いや、もういいの・・・・もうそんなこと・・・・・もう何日も考えて決めたことだから・・・・・・」

「・・・・・・・・・」


結局私は、彼女の家を出ることに決まりましたが、私にとっては不幸中の幸いで、直ぐに此処を出ることは無く、しばらくは此処から出て行ける資金が溜まるまでの猶予を貰う事ができたのでした・・・・・

その日の夜は、私の部屋からでも分るぐらい彼女は寝る事が出来なかったらしく、彼女は明け方まで起きているようでした。

私も彼女が心配で、ずっと起きていたのですが、だからといって様子を見に行ける事もできず、終には私は睡魔に負け寝てしまったのです。


次の朝、彼女の目は大きく腫上がっていたのを今も鮮明に記憶しています。



今も良く思い出します。


この時ほど、私は最低の男であったことを・・・・・・・












お名前   コメント

ホームレス 壺中の天さん 男は黙ってサッポロビール!!!なんのこっちゃ!^^ (08/11/29 03:31)
ホームレス 35才の男さん 貴方に言われたくありませんね!よ!イケメンさん!^^ (08/11/29 03:29)
ホームレス 38毒男さん 初めてお目にかかります。コメント本当に有難うございます。これからも続けて書いていきますので飽きずに見ていただければ幸いです。^^ (08/11/29 03:28)
ホームレス ここへさん 初めてのコメント有難うございます。そのとおりです、私は今も忘れた事はありません、感謝って言うことなど超え、後悔と自責の念でいっぱいです。 (08/11/29 03:26)
壺中の天 やっぱり食うべきであった。添え膳だったのですね。ただ、後の展開がどうなるのか分からず怖かったんですかね。 (08/11/28 20:58)
35才の男 良く長い文章かけるなあ^^仕事に生かせない? (08/11/28 20:26)
38毒男 文才ありますね〜毎回楽しみにしています、♪手を出さずでも隣で朝まで寝れば追い出されずに済んだのに、もったいない。 (08/11/28 10:14)
ここへ 彼女とは別れて部屋をでるのでしょうけど、なにはとにあれ、命の恩人でホームレスから再起させてくれた彼女に一生、感謝しなければいけないでしょう。 (08/11/28 09:21)
ホームレス ばばりんさん おっはよーございます!その通りです!最低の男なんです!私が一番それを知っています! (08/11/28 07:15)
ぱぱりん 本当に最低な男だな!フィクションでなかったらぶん殴る!!(感情移入してまっす^^) (08/11/28 07:11)


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