さよなら

実家の両親と離れ、他県で生活をして、もう１1年が経ったであろうか・・・
私としては、あまり時間の流れを感じてはいなかったが、「もうそんなに経つかな」と感じでしか思っていなかった。

先日、６年ぶりかで実家の方に帰り、駅で待っているとの事・・・両親を探したが、どこにいるのか分からなかった。
こんな田舎の駅で分からない訳ではないのだが、電話しようとしたら、手を振る人を見て、それで気がついた・・・それは、私の知っている両親の姿ではなかった。

母は最初に自分が癌である事を告げた。
帽子をかぶり、恐らくは治療によって髪が抜けてしまったのであろう・・・私は母の病気について何も聞けなかった。

母は色々と話し始めた・・・家族の事・生活の事など、実家で家族がどんな生活をしているか全く知らなかった私に色々と話してくれた。

義理の姉が障害者になったとの事。
理由は聞かなかったが、介護が必要だという事だった・・・
まぁ、元気に楽しくやっているから心配しないでと言っていたが、その姿は、年老いて夫婦二人で助け合って生活をしているという印象を受けた。

そんな状態なのにお金をくれた・・・私は何も言えず受け取ってしまった。

私は実家を出て、いったい何をしてきたのか・・・