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新・ぢゃんく屋日記

Author:th1969 ( Profile )

 ■ 2004/02/22 (日) ショートショートを書いてみた


昨日の繰り返しを書いても面白くないので、ショートショートでも書いてみる。

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「今日も終わったか‥‥」
何も釣れなかった釣り人のような口調で男が独り言をつぶやく。

男は前の会社でリストラに遭い、ここ1年ずっと無職だった。
その間勿論、求職活動はしていたが、何度求人サイトからレジュメを送っても、また履歴書片手に面接に臨んでも、結果はいつも判で押したかのように「慎重な選考の結果、貴意に添えませんでした」「採用を見送らせてもらいます」の繰り返し。
無職である期間が長引けば長引くほど、そのサイクルは加速していき、男の財布と心を蝕んでいった。

今日も男は郵便で不採用通知を受け取っていた。
送り返された履歴書と不採用通知を横に置き、就職活動を始めてからExcelでつけはじめた就職活動記録の「不採用/音信不通」のセルに記された数を見て、男はもう一言呟いた。
「もう150件目だな、もう限界だよ」
そして無言でウィンドゥを閉じ、PCの電源を切った。

男はその夜も、寝る前の睡眠薬をいつものように服用するとベッドに身を横たえた。
無職で半年過ぎた頃よりストレスから不眠症に陥り、心療内科で処方してもらっている薬である。
薬が男の疲れた身体を急速に睡眠へと持ってゆく。

ただその夜、彼の部屋には火のついた練炭が置かれていた。
男が自らの意志で置いたものだ。

男は翌朝になっても眠りから覚めることはなかった。
しかし、それからもしばらくの間、男の元に企業名のついた封筒が数通届いた。
だがそこにも、やはり「貴殿を採用します」の文字は一つもなかった。
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♪「Closer」 Joy Division



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