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ヒモと呼ばないで9年ぶりに帰ってきました。誰か助けて。 |
■ 2013/05/15 (水) 偽物 |
西武新宿線沿線に住んでいた。
埼玉県の。 今さらだが、埼玉には海はない。 川や湖は数多あれど、海はない。 地引網も、サーフィンも、臨海学校もできない。 だから、人一倍、海には憧れた。 車の免許など興味はなかったが、思春期に「海にドライブ」等と想像するだけで流石に欲しくなったものだ(結局取らなかったが)。 その黄色や赤の電車で、よく狭山湖/多摩湖に出かけた。 国木田独歩の頃から面影しか残ってないってことになってる武蔵野の森の中に、更に昭和になってからできたダムだ。 俺が知ってるのは、更に更に後の、オランダの風車がシンボルのユネスコ村がまだあり、そこにSLが煙を上げて走ってた頃以降で、西武ライオンズがやってきてからも、何かあるとひとりでそれを見に行った。 でも、その話をするとよくバカにされた。 え、ダムだろ、それ 作りもんじゃん コンクリで固めた水たまり見て、何が面白い 海有り都道府県出身者はもちろん、時に同じ埼玉在住者にも。 夕暮れに小さい、時に巨大に感じる橙の球が、こちらにその色の帯の道を作りながら水に溶ける様 「暗さ」にこんなに段階があると思い知らされる幸福 時間が急に早くなったり、また止まったりする空の魔術 忘れていたこと、忘れようとしていたことを、その数千もの暗さのグラデーションが、聞いたこともないけど、忘れられないBGMと一緒に思い出させてくれたこと それを共有する周りにいる赤の他人達が、深い深い所でどうしようもなく繋がっていると実感すること 海じゃなくても、わかった。 湖ですらなくとも、十分だった。 偽海でも、それを教えてくれた。 だから、俺にとって狭山湖/多摩湖は今も、海だ。 サザンもドライブも彼女も(時々はいたかもしれないが)いなくても、青春を感じる。 偽物、と言われても、それで満足してしまったんだからしょうがない。 たとえ、それが他人から見たら、コンクリのでかいバケツ、でも。 最近、行ってないな。 また行こう。 俺の偽海。 そのときは、本物の時間をまた、よろしく。 |
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コメント
B級主夫 ポンスター様、コメントありがとうございます。埼玉県はよくバカにされますが、いいところですよね。お返事遅れてすいませんでした。 (13/05/19 19:05)
ポンスター ユネスコ村は小学校の遠足で、狭山湖や宮沢湖、正丸峠とかはサイクリングでよく行きました。 あの辺のエリアは自分にとっても想い出深い地で、似たような思いを共感してる一人です。 (13/05/16 17:41) |
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