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ヒモと呼ばないで9年ぶりに帰ってきました。誰か助けて。 |
■ 2004/01/16 (金) ちゃんとやってる |
帰ってきた。
いきなり玄関に燃えないゴミの袋。 呼び鈴を押すと娘が起きてしまうので、鳴らせない。 帰宅したのに戸も開けずに引き返すのが情けなかったので、とりあえず自分で鍵だけは開ける。 それからゴミを手に取り、一度通り過ぎたゴミ捨て場に引き返す。 ゴミをまとめるのは妻の仕事、捨てるのは俺の仕事。 改めて決めたことではないが、流れでそうなっている。 彼女は自分の仕事をちゃんとやったから、今度は俺が役目を果たす番だということなんだろう。 ゴミ捨てを済ませ、やっと家に入れる。 とりあえずトイレに。 その時点で妻が食事の支度をしてくれてるのが気配で分かった。 ゴミ捨てに行った時点で作り始めていたようだ。 それは有り難い。 …でも、同時に辟易ともする。 だって俺がまとめ炊きしたご飯と、朝の味噌汁、それに出来合の惣菜を温めるだけだろ。 急がないと冷めちゃうじゃん。 いくら何でも、帰ってきて温め直しの冷めたものなんか食べたくないよ。 それに、もうたっぷりと「急がないと」っていう時間を過ごしてきたんだ。 帰ってからも、そんなに急かすなよ。 急いでトイレから出て、慌てて手洗いとうがいを済ませ、日課の体重と体脂肪を計り、着替えを済ませると、最初に玄関に着いてから、もう15分以上経っていた。 それからテーブルの前に座って、とにかくお茶をすする。 …でもその時には、すでにもう生ぬるい。 俺は、酒も、タバコもやらない。 ただ、お茶を飲むだけ。 そのお茶が、それも帰ってからの最初の一杯のお茶が、すでに冷たいなんて最悪だよ。 味噌汁も同じく、ぬるい。 ご飯と餃子は妥協点に辛うじて触れる、という感じの温かさ。 彼女にしたら「遅くに帰ってきた夫のために起き出して、ご飯を温め直してあげてるいい妻」を一生懸命しているんだろう。 だけどさ、相手は人だよ。 いつも同じ行動を同じ時間でこなすわけないじゃん。 それも、そういう行動を9時間強いられてきた者が、やっと帰ってきて、解放されてきたんだよ。 さらに、その男はそういう生活に適正がないってことを感じる辛さを一日中味わって帰ってきてるんだよ。 ゴミ捨てに行って、それからトイレに入ったのがわかったら、ちょっと待ってくれたっていいじゃん。 だいたいお茶なんか、「飲みたい」って言っても、いつも一番最後に入れてるくせに。 そんなことすらしたくないなら、もう寝ててもいいよ。 実際、お前が起きてこないときは、熱いお茶とご飯の支度くらい自分でしてるんだからさ。 …今ここで書いたことを、それに砂糖と蜂蜜とみりんを入れて、人肌に温めた言い方にして言ってみた。 具体的に書こうか。 「あのさぁ、いつもはトイレにすぐに行かないけど、今日はすぐに入ったじゃん。 それにゴミも捨てに行ったしさ。 そうしたら、ご飯とか冷めちゃうから、俺が自分で温めるから、君はそんなに急いでしなくてもいいよ。」 すると、むくれてもう何も喋らない。 喋ったかと思うと、ストーブの火を見つめて、ぶつぶつ何か口の中で言っているだけ。 …わかったよ。 君はちゃんとやってるよ。 そして、俺はまだまだなんだよな。 君がわざわざしてくれたことに、文句言ってるようじゃ「男として」まだまだってことなんだよね。 お義母さんに、そう伝えるんだろ。 違うか。 お義母さんにそう言われてるのか。 俺は「もっと急いで」「相手を受け入れて」。 君は「ちゃんとやってる」。 自分の家が休憩室のソファーの延長のように感じるわけだ。 …入る前にカードのスキャンをするか、ゴミを捨てるのかが、大きな違いか。 こんな夕食ありか。 っていうか、こんな生活ありか。 |
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