原点に帰る

学生の頃、Y駅付近の病院の駐輪場から、私が通学に使っている自転車が盗まれた。

春休みに入って一週間くらい放置状態となっていたので確認しに行ったら、無くなっていた。

諦めず、犯人像を絞りこむ。

「犯人は付近在住、アシに困ってる奴＝中高生｣

一週間くらい現場付近のスーパーなどに停めてある自転車を捜した。

その結果、某スーパーに停めてある自転車の中に、私の自転車と同じ車種で鍵の箇所が改造されている自転車を見つけた。

私の自転車とは限らないので、購入した店に車体番号を聞き出す。

すると、その自転車と番号が一致。

「持ち主｣が現れるのを待つ。

「あっ、オレの自転車がない！｣

高校生風の男が現れた。

「すいません、コレあなたのですか？｣と私が聞くと、「間違えたのかもしれません｣と男が言って再び店内に入って行った。

急いで公衆電話から110番通報。

駆け付けた警察官が店内にいた男の身柄を確保。

犯人は180センチくらいある中学生だった。

近くの交番で少年Aは事情聴取などをされ、友人と思しき少年らが困った様子で見ていた。

警察官が少年Aに謝罪を促した。

「土下座しろー！土下座！｣

私は怒って少年Aに傘を投げつけた。

その数日後、少年Aが父親に付き添われ、約60km離れた私の家まで菓子を持参して来た。

私は自転車の修理代を初め、捜索に要した費用（昼食代、電車代、慰謝料、その他など）を請求した。

すると現金10万円を頂いた。

一応、これで和解成立。

「あなたの息子の様な人が身近にいると思うと、安心して生活できない｣

お礼に散々、説教をしてあげた。

決していい思い出ではないが、武勇伝ではあるかな。