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不信のとき

Author:伊藤 博文 ( Profile )
心に愛がなければ、いかなる言葉も相手の胸に響かない。
    〜聖パウロの言葉より〜

 ■ 2012/04/08 (日) 小説遍歴


「人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うには莫迦莫迦しい。
 重大に扱わなければ危険である
 人生は落丁の多い書物に似ている。
 一部を成すとは称しがたい。しかしとにかく一部を成している」 
                    ・・・・芥川龍之介「侏儒の言葉」

僕の短編小説遍歴は森村誠一から始まった

森村誠一
まだ中学生の頃、学習塾の帰りに本屋で立ち読みするのが常だった
容貌と同じく四角四面な印象。でも内容はそこそこ面白い
新しいものは読んでいないが、角川文庫の古いカバーの時代のものは
たいがい読んだ

司馬遼太郎
司馬さんの小説は二十代の若い頃に短編、長編ともに大方読んだ
(大黒屋光太夫の題材のものは読んでいない)
ただ、後の津本陽あたりの小説と比べると少しデテールが荒いかなという気がする

松本清張
内容の面白さでは、他の作家を大きく引き離している
「顔」「声」「張り込み」のような推理物だけではなく
「戦国権謀」等の時代物もある
帝銀事件、下山事件等の事件ものも面白い
長編は読んでいないが文庫本の短編はほとんど目を通している

新田次郎
文体が好き。ミネラルウオーターのような清冽な印象がある
真面目な人柄がうかがえる
山岳小説というジャンルを初めて読んだ
歴史物のほかに海外旅行物、紀行文もある
一時、非常にのめりこんだ

阿刀田高
男女間の機微を軽いショートショートにまとめた短編
そのなかに「ガラスの肖像」や「花惑い」のような秀作集があったりする
読みながら架空の恋愛を楽しんだ

芥川龍之介
師匠の漱石ファンには申し訳ないが、自分には漱石でよかったと
おもうのは「こころ」だけだった
その点、この人の小説は長編、短編とも素晴らしいと思える
文章に頭の良さがにじみ出ていて、他の作家にくらべ
文体、内容すべてにおいて優れている。
まだ中学、高校の頃、家にあった旧字体の全集を
寝る前に布団にもぐりながらよく読んでいたものだ







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中年競馬 僕は藤沢周平が好きです。 (12/04/08 16:56)


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