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不信のとき

Author:伊藤 博文 ( Profile )
心に愛がなければ、いかなる言葉も相手の胸に響かない。
    〜聖パウロの言葉より〜

 ■ 2009/11/03 (火) 夜の大阪行き新幹線


自分は昔、大阪に住む女と付き合っていたことがある。今から15年くらい前の話だ。
2週間に1度、新幹線に乗って大阪まで会いに行った。金曜日の夜、仕事が終わると
東京駅まで急ぐ。新大阪までの最終は9時18分発の「ひかり」だったと思う。
時間ぎりぎりになることがよくあって、駅員さんにお情けで改札をとおしてもらったこともあった。

新幹線に乗ってすぐ熱海の夜景を眺めるくらいまでは気分もわくわくしているが、そこを過ぎるとあとは退屈なばかり。金曜の夜の新幹線はいつもサラリーマンで混んでいた。そんなガヤガヤした他人の会話を聞きながら、暗い外を眺める。途中で大きな湖を通り過ぎる。浜名湖である。ここを過ぎると名古屋まであと半分くらいか。
名古屋のホテルや予備校のネオンを過ぎるとあとは京都まではそう遠くない。
京都を過ぎれば大阪はもうすぐだ。大阪経済大学の看板が見えてくると大阪に着いたんだなあと実感する。11時30分を廻った新大阪駅は閑散としていた。

新大阪駅に着くと小走りで地下鉄の乗り場に急ぐ。東京の丸の内線にちょっと似た感じの地下鉄=御堂筋線=である。電車が入る前に独特のシグナルが鳴る。あれは今でもあるんだろうか。御堂筋線は江坂あたりで外に出て北大阪急行になる。淀川を渡りながら
=電車の両側を車が走っているんですね、大阪もしくはなにわナンバーの車が=あとは
緑地公園、桃山台と続いて目的地の千里中央に到着する。
夜の千里中央駅前のタクシー乗り場の人の列を尻目に駅前にある「阪急千里ホテル」に
歩いていき、そこでシングルの部屋をとる。これで一段落である。

彼女の住んでいるマンションはそこからさらに少しいった「西緑ヶ丘」というところだった。眺めのいいところで大阪を一望できる。夕方に坂道を登っていけば反対側に明かりのつき始めた箕面の街がきれいだった。食事時になると小さな子供の声や食器のガチャガチャ鳴る音。でもマンションは一目みて安くないというのがわかったし、このあたり自体=「西緑ヶ丘・小路」=高級そうなイメージだった。金曜日早くついた夜はテレビで「たかじんのばあー」を見ていたっけ。

あれからもう15年。大阪にはもう10年近く行っていない。








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めとろん 彼女はお金持ちのお嬢さんだったんでしょうか。その人とは結婚しなかったのですね。はるばる東京から男の人にきてもらえる女性って魅力的だったんでしょうね、羨ましい話。御堂筋線の千里中央までの描写は良く分かります。 (09/11/04 01:36)


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